TPPは、グローバルに公平な競争を追求していこうという考え方でもあり、今後はますますFTA(自由貿易協定)が世界的な流れとなり全盛時代を迎えていくのだろうと思います。これが結果として競争政策の推進につながっていくことが大変重要だと考えており、農業についても、これまできわめて過保護な部分があったわけで、農地法の改正を行ない国内外での競争に耐えられる農業を時間をかけてつくっていくべきです。

最後にもうひとつ、競争政策において大事なことは新陳代謝だと私は考えており、時代に取り残され国際競争力を喪失したゾンビ企業はつぶしていくという考え方を持つべきではないかと思います。衰退の一途をたどる企業にいくら追い銭をつぎ込んでも、もはや再生不能であるということが結局わかるだけのことですから、徹底した競争政策により新陳代謝を図りながら、より強い国際競争力を持った産業群を育てるのが、本来の競争政策というものだと私は考えています。

北尾吉孝(きたお・よしたか)
SBIホールディングス代表取締役執行役員社長

1951年、兵庫県生まれ。74年、慶應義塾大学経済学部卒業後、野村證券入社。78年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村證券で事業法人三部長等を経たのち、95年にソフトバンク入社、常務取締役。99年、ソフトバンク・ファイナンス社長。現在、インターネット総合金融グループを形成するSBIホールディングスの代表取締役執行役員社長。『何のために働くのか』(致知出版社)など著書多数。「face book」にてブログを執筆中。




この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。