兜氏はこうも言う。

「アドマイヤムーンを管理した松田博資師も武を絶対に乗せない。松田厩舎にはかつて、アドマイヤマジンが所属していました。ヴィルシーナやファルスター(牡5歳)を預ける友道康夫厩舎の馬にも、武はほとんど乗っていませんよね」

 近藤氏の息のかかった厩舎に預けた馬はやはり、悲しいかな、武とのコンビは望めないようなのだ。

 加えて、佐々木氏のこれまでの所有馬(12頭)のほとんどを生産しているのが社台ファーム、ノーザンファーム。本誌が過去に報じてきたように、武との確執を抱える競馬界の最大勢力、生産者、馬主である社台グループの牧場であることも関係しているのか‥‥。前出・馬産地関係者は言う。

「社台にとってはいい馬主ですよ。これだけ活躍してくれていますからね。ヴィルシーナ1頭で3億3000万円もの賞金を稼いでいるし、マジンプロスパー(牡6歳)も1億6000万円を稼いだ」

 そんなジレンマを抱える佐々木氏に対し、武のスタンスはというと、

「近藤氏と佐々木氏の勝負服のデザインは袖の部分がわずかに違うだけで、ほぼ同じ。それを着ることに抵抗があるのでは、との声もありますが、武自身は何も抵抗を持っていません。もし佐々木氏サイドから騎乗依頼があれば乗るのではないでしょうか。パーティや競馬場で会うと普通に挨拶をして、和やかに会話を交わしていますしね」(前出・トラックマン)

 事実、佐々木氏と武個人との関係はいたって良好なのである。佐々木氏が馬主になった当初から、2人は雑誌の対談企画などにも登場。例えば、こんな感じで──。

 よく聞きますよ、競馬場に来ている話を。僕と佐々木さんが知り合いだってことを知らない人からも「今日、大魔神が来てるぞ」なんて話を聞いたりしますから(笑)。今度、(スタンドから)下(ジョッキー控え室)まで降りてきてくださいよ。

佐々木 いや、なんか余計な気を使わせちゃうんじゃないかと思ってね。自分も現役だった頃、試合前に集中したい時は、人に会うのが嫌なこともあったからさ。

 佐々木さんは別ですよ。それに、今や馬主さんじゃないですか(笑)。

 近藤氏のようなわだかまりなど、まるでないことがよくわかるのだ。