炎があがったりボールが飛んで来たり、ライブも大盛り上がり。メインステージは遠かったけど、花道があったおかげでメンバーがすごく近くに感じられました。

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■メンバー総出演の豪華ライブでスタート
6月8日に行われた「32ndシングル選抜総選挙」のイベントが始まったのは、テレビ中継が始まる3時間以上前の、15時だった。
7万人を収容した満員の日産スタジアム。陽が強く照る中、AKB48グループ総出演のライブからスタート。アリーナ席をぐるっと360度囲むように設置された花道を、メンバーたちは冒頭から縦横無尽に走り回った。炎を使った派手な演出も交えながら、全41曲、約2時間半。けっして「選挙の前座」とは言えないボリュームだった。
最後には「元気ねぇ〜」でおなじみの大堀恵など卒業生チームも登場。日中の野外での公演、さらに総選挙を控えていることもあり、メンバーは体力的にも精神的にに難しい部分もあっただろうが、それをまったく感じさせないライブだった。

すると会場には突然「ビッグダディ」こと林下清志が登場! メンバーや観客へ激励の言葉をかけ、選抜総選挙の開幕を宣言した。(どうしてビッグダディだったんだろう?)

17時半、ひとりひとり名前を呼ばれながらステージにあがるメンバーたち。近藤さんの速報記事でも触れられていたけど、峯岸みなみが登場した時は会場もどよめいた。カツラも帽子も被らなかったのは、彼女なりの覚悟の現れだったんだろう。

■早すぎるみおりんの登場、その時よしりんは?
まずは64位、いきなり1万を超える票数が集まったことに客席から驚きの声があがった。昨年の64位は5,398票であり、1万を超えたのは31位から。年々規模を大きくしている総選挙だが、今回もまた相当に票数が増えたことになる。また、卒業生である平嶋夏海が62位にランクインした際も大きな歓声に湧いていた。

個人的には、推しメンである市川美織が57位で呼ばれてしまったことにびっくり。
昨年の総選挙で初めて投票して以来、ずっと押し続けて来たみおりん……。この1年を振り返れば、「めちゃイケ!」でOKL48に選ばれながら特に目立つ訳でもないなど、とても微妙な位置だった。結果も、昨年よりわずかに順位を上げたものの、速報よりはかなり下がったという微妙なポジション。しかし今年も、スピーチの最後におなじみ「フレッシュレモンになりたいの〜♪」を披露してくれた時は、席を立って拍手を送りたかった。きっと小林よしのりは周りの目なんて気にせず絶叫していたハズだ。(見えない位置にいたので分からないけど。)

■対照的だった地方組と中央組
続く48位〜33位の発表では、期待の若手である兒玉遥(HKT48)や松本梨奈(SKE48)がランクイン。兒玉さんはかなり緊張していたのか、コメントで「去年の篠田さんの言葉をふにぇにー、」となにを言ったか分からない場面(「言葉を胸に」と言ったらしい)では会場も笑いに包まれ、「がんばってー!」という暖かい声援が飛んだ。

ここまで、AKB48メンバーよりも地方組のほうが圧倒的に歓声が力強く、大きく感じられたのが印象的だった。32位〜17位のアンダーガールズ発表でも、ひときわ盛り上がったのはやはり柴田阿弥(17位/SKE48)や松村香織(24位/SKE48終身名誉研究生)、宮脇咲良(26位/HKT48)など。逆にAKB48から21位で北原里英、20位で高城亜樹、19位で梅田彩佳がそれぞれ発表されると、歓声よりも「あぁ〜」というため息が目立った。

■松井玲奈がファンに送った、感動的なあいさつ

19時をまわり、日も暮れてサイリウムが輝く時間になった頃、ついに選抜メンバーの発表。自席に残されたメンバーはそれぞれに緊張の表情を見せていたが、板野友美や「ぱるる」こと島崎遥香はうつむいたまま、かなり青い顔をしているように見えた。

選抜に選ばれたメンバーでは、過去3年で11位→10位→10位となかなか一桁に入ることができず、今年ようやく7位にランクアップした松井玲奈(SKE48)のスピーチが特にすばらしかった。

「ファンの方はずっと、『7位以内に入ろうね』と言ってくださっていました。でも毎年入れなくて、選挙の後の握手会では、ファンの方はいつも気を使って『ごめんね』と……。だから毎年、総選挙で名前が呼ばれると、その『ごめんね』という言葉と顔がフラッシュバックしていたんです。でも、今年は7位という、みなさんと一緒に掲げていた目標を突破することができて、最初に頭に思い浮かんできたのは、みなさんの笑顔でした。とっても嬉しいです!」

AKB48の面白さって、総選挙はもちろんだけど、そこに繋がる握手会にあるんじゃないかと思っている。自分を支持するファンと定期的に交流するというのは、時にしんどいこともある。体調が優れない時だってあるし、どんなに健康でも、丸1日立ちっぱなしで何百人もと握手をするのはとんでもなく大変なことだ。

僕はananで連載しているAKBメンバーの私服ファッション紹介(「おしゃれ総選挙!私服選抜のセンターは誰?」という書籍になりました)の取材のために、定期的に握手会の裏側に入らせてもらってきた。そこで、ぐったりしながら楽屋に戻ってきて、それでも「大丈夫です」とまたブースに出て行く姿を何度も目にしたことがある。この過酷な共生感というか、共犯関係のようなものこそが、AKBなんだなといつも実感していた。

だから、松井さんのコメントはその関係性を象徴しているようで、ファンとしてはとても感動的な言葉だった。

■今年も見せ場を作ったベテラン

この日いちばん会場が揺れたのは、5位となった篠田麻里子が卒業を発表した時。
「後輩たちの勢いある背中を見ていたら嬉しくなったし、私はAKB48に悔いはありません。」と語ると、客席からは大きな「マリコ!」コールが起こり、篠田さん自身も思わず顔を覆った。ひな壇の後ろでは高橋総監督が盛大に泣き崩れていて、「こんなに本気で号泣している人をテレビで流すなんて……」と、その残酷さにちょっと胸が痛くなった。篠田さんが5位の席につくと、会場からは再び「マリコ!」コール。今年の総選挙の中で、もっとも客席が一体となった瞬間だったように思う。
昨年は「潰すつもりでかかってこい」という強烈なパンチラインをぶっ放して影の主役となった篠田さんが、今年もちゃんと見せ場を作ったことに、ベテランの凄みを感じたりもした。

そしてやはり2位の発表は、とても緊張感のある独特の空気だった。
指原莉乃が1位になると予想していた人は少なかったようで、発表時には僕のまわりでも「マジか……」と驚く人、「うぉぉぉ!」とオタばりに歓声を上げる人など様々だった。指原さんを祝福するように大きな花火があがったところで、イベントは終了した。

■最後まで「らしい」指原さん

その後の囲み取材でもまだ動揺した様子だった指原さん。「秋元さんは納得いってないのかも」「ライブが始まる前からずっとトイレを我慢しているので、早く行きたいです」と彼女らしいコメントを残した。最後にも「いいこと言ったところだけ使ってください!(笑)」と記者に告げながら去っていき、笑いを誘っていた。

指原さんがトップを穫ったことは、かなりエポックな結末だった。スキャンダルを起こして左遷された人物であることはもちろん、AKB48以外のメンバーが1位になることも初。順調にステップアップしたSKE48や、その背中を追うNMB48も含め、AKBグループがどんな展開を見せるのか、また今後が楽しみになる総選挙だった。

ちなみに、山内鈴蘭(AKB48)が昨年よりかなり順位を落としたこと、小嶋菜月(AKB48)や村重杏奈(HKT48)、木下有希子(SKE48)あたりが圏外だったことは、個人的には意外な結果だった。
そして来年に向けて、やっぱり市川さんの活躍に期待したい。NMB48兼任となった今年はもっとファンを増やし、次はなんとか、30位代くらいには!!

※「AKB48モバイルサイト」では、今回の選抜総選挙での各メンバーのコメントなどくわしい情報も掲載。この記事とあわせてチェックすると、より楽しんでもらえるはず!

(田島太陽)