会社を辞めたら加入すべき保険・年金とは?

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会社を辞めて独立を目指す! そんな人にまず頭に入れておいてほしいのは、起業するにせよ、フリーランスになるにせよ、「収入が不安定」になるということだ。特に、これから仕事を探すのであれば思うように稼げるかわからないし、すぐに対価が得られるとは限らない。収入が少ないときの生活費として、ある程度の現金をいつでも使えるように準備しておきたい。教育費などに用意してある資金はそのままにして、そのほかに最低でも生活費6カ月分は確保しておく必要がある。

病気やケガ、死亡時の備えもサラリーマン時代とは変わってくる。備えの基本は、国民年金と国民健康保険だ。

国民年金には障害年金や遺族年金の制度がある。また、国民健康保険には高額療養費制度があり、一般的な収入の人なら1カ月の自己負担額は最高でも9万円程度に抑えられる。ただし、サラリーマンなら病気やケガで働けなくなった場合に受け取れる傷病手当金の制度はない。

民間の保険に入るかどうかは、こうした公的保障をよく調べたうえで検討するべきだ。加入する場合にも、保険料はなるべく安く抑えたい。

医療保障はまず共済を検討しよう。もし貯金に余裕があるなら、医療保険に入らないという選択もある。100万円程度を医療用資金として定期預金などにプールすれば、保険の代わりになるだろう。

小さな子どもがいるなら、死亡保障も検討したい。保険料の安い定期保険か収入保障保険で、子どもが小さいうちだけ保障を厚くするといい。

老後資金については、収入が安定して、余剰資金ができてからでいい。退職金を有利に運用しなくては、と焦って金融機関に相談にいくのはもってのほか。あくまで余裕ができてからでも遅くない。

サラリーマンの加入する厚生年金は基礎年金部分と報酬比例部分の2階建てだが、自営業者が加入する国民年金は基礎年金部分だけ。だが、2階部分として「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金(個人型401k)」といった制度がある。いずれも、確定申告時には払った掛け金の全額を所得から控除できる。所得税が減るばかりか住民税や健康保険料なども安くなり、非常に有利だ。

まず検討したいのは国民年金基金。掛け金は月6万8000円が上限で、最大で年間81万6000円を所得から控除できる。所得税率10%なら、所得税だけでも8万1600円安くなるわけだ。受給期間や受給開始時期により9種類から選べるが、たとえば35歳(35歳1月〜36歳0月)男性が終身年金に加入した例では、毎月の掛け金1万6320円で65歳からの受取額は毎月約3万円になる(保障期間なしの終身年金B型に計4口加入した場合)。

個人型確定拠出年金は、運用商品を自分で選ぶのが特徴だ。掛け金の上限は、国民年金基金と合わせて月6万8000円。年間数千円程度の口座管理料がかかるので、おすすめは手数料不要の国民年金基金のほう。ただし、以前の勤務先に確定拠出年金制度があって一定以上の残高がある人は、残高を個人型確定拠出年金に移すことになる。この場合は、口座管理料の安い金融機関を選び、確定拠出年金を続けてもいい。

上司や会社の都合に振り回されない自由を手に入れた分、収入と経費の管理から社会保険の手続き、税金の申告納付まで、やるべきことは多い。戸惑うかもしれないが、次第にコスト意識が身につき、経営感覚が養われる。「金のことは妻任せ」という人も、自分で行う習慣を身につけてほしい。

繰り返すようだがもっとも大切なのはキャッシュ確保だ。普通預金でも構わない。いざというときに使える現金が、なによりの保険になることだろう。

(ファイナンシャル・プランナー 深野康彦 構成=有山典子)