市販の競馬予想ソフトに独自の条件を設定し、ネットで自動的に馬券を購入するシステムを用いてほぼ全レースを購入していた大阪市の元会社員男性。04年、元手100万円からスタートし、07年から09年の3年間では馬券購入費28億7000万円に対して、払戻金総額が30億1000万円。プラス1億4000万円のはずだったが──。

「国税局は、競馬での払戻金は一時所得という位置づけ。当たり馬券の購入額1億3000万円のみが経費として控除でき、28億8000万円の所得を申告せず、5億7000万円を脱税したと主張。一方、元会社員側は外れ馬券の購入費27億4000万円も経費として認めてほしいと訴えていました」(司法担当記者)

 ファンが注目していた外れ馬券は経費か否かが争点の裁判。5月23日午前9時30分、大阪地方裁判所の別館南側玄関前には、傍聴希望者が長蛇の列をなしていた。最終的には500人余り、2月の論告求刑公判よりも倍近く増え、ファンの関心の高さがうかがえた。59人という狭き門を何とかクリアし、午前10時の開廷を待った。

 本館2階201号法廷。元会社員は紺色のスーツに白いワイシャツ、紺色ストライプのネクタイ姿だ。

 開廷すると、すぐに判決が言い渡された。

「主文、懲役2月に処す。ただし、執行を2年間猶予する」

 眼鏡をかけているため表情はわかりづらいが、元会社員は静かにうなずきながら判決を聞いていた。

 裁判長は「一般的に競馬は娯楽でレース結果も偶然に左右されるため、払戻金は原則、一時所得」としながら「本件馬券購入行為は娯楽だけでなく、資産運用のものと捉えられるため一般とは異なる。営利目的とし、一時所得には当たらない。雑所得に分類される」と説明した。

 雑所得扱いになったことで、脱税額は5200万円に減額。元会社員は「利益があった以上、納税の義務があるので、やむをえないと思っています。全面的に主張を認めてもらい感謝しています」と、弁護士を通じて心境を明らかにした。

 ただ、競馬ファンにとっては納得しがたい判決だ。

「結局、一般のファンはこれまでどおり。年間の払戻金総額から当たり馬券の購入費を引いた金額が90万円を超えれば、トータルで負けていようが申告、納税する義務があります。では、どう買えば雑所得として認められるか、はっきりしない。結局、不公平感を生み、競馬ファンを混乱させる結果を招いたとも言えます」(前出・司法担当記者)