本だからこそ、謎解きが楽しい。『パズルノート 天文台の謎の部屋』は、パズルを解くことで最終的な謎を知ることができるゲームブック。少年達が集まる天文台の部屋にやってくる、謎の伝書鳩の届けるパズルを解きながら、少年少女と一緒に青春を送ろう。

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パズルを自力で解かないと、真実には巡り合えない。
『パズルノート 天文台の謎の部屋』は、一冊の物語として「遊べる」本です。

かつて80・90年代に「ゲームブック」が流行ったことがあります。やったことある方も多いはず。
今もありますが、だいぶ減りました。
ページをめくって、選択肢にあわせてページを飛んでストーリーを追っていく。
あのシステム考えた人はすごいよ。熱中しましたよ、ページめくることを。
で、この本も似たようなゲームブックなのですが、かつてのそれとは違います。
体裁はパズル雑誌と同じように見開きに一つクイズが載っています。
そのクイズを解いていくことでキーワードが集められる。
そのキーワードを集めて、最終的な謎がとける。物語にパズルを組み込んだユニークな本なのです。

個人的に思い出したのは映画『グーニーズ』でした。
子どもたちが自分たちの知恵を絞って、冒険の旅を進めていく作品。今思うとおもちゃみたいなクイズ的なものも多かったのですが、それが解けないと前に進めないから、みんなで力をあわせて得意分野を担当する。この絶妙なバランスにドキドキしたもんです。
そんな『グーニーズ』のノリに近いです。

天文台で放課後集まっている少年達。
そこに届けられる、謎の伝書鳩が届ける手紙。
中にあるのは複雑なパズル。
これはなんだろう、とにかく解いていこう。
そうするとキーワードや手がかりが、ぽつりぽつり…。

途中からここにサギリという少女(かわいい)が入り、4人の少年少女は手紙を中心に、退屈だった日常が変化しはじめます。
まあ『グーニーズ』みたいな命がけの冒険ではないんです。
伝書鳩の手紙のパズルを解くだけなんですが、これがやってみると……あー、この楽しくてゆったり時間流れている感覚、学生時代的だ。
パズルを全部解くとそこからさらなる解が得られて、最後にホームページにアクセスすると物語の真相を知ることができます。

イラストやストーリーは非常に現代的なので、アニメ・ゲームファンも楽しめます。サギリかわいいですし。
パズル難易度は、簡単なのもあれば、かなり難しいものも。
一応救済策として解答はついています。
ですが、最終的な謎は掲載されていません。

パズルを解くためには、そのページに長くいるわけです。
ということは、それだけキャラクター達と一緒に過ごす時間ができる。
まるで青春期の少年少女と一緒に遊んでいるようで、楽しくなる!
この体験は、雑誌ならではです。

同じシリーズとして『パズルノート 学園の謎を解き明かせ」というのもあります。
どちらも絵がかわいく、パズル難易度は普通のパズル雑誌よりはちょっと低め。
パズルに興味がある人にはもってこいです。

同じような作品として、SCRAPから『ふたご島からの脱出 少年は戻りたいと思った。少女は救いたいと願った』などのシリーズも出ています。
どちらも一方通行のパズルゲームブック。
ビデオゲームやスマホアプリでのパズルがお手軽な昨今。
その中で「紙のパズルだからこそ面白い『本』が作れる」という挑戦がこれらの本です。
眺めてみるだけでも、イラストも多く、ぐいぐい興味惹きますよ。


『パズルノート 天文台の謎の部屋』
『パズルノート 学園の謎を解き明かせ」
『ふたご島からの脱出 少年は戻りたいと思った。少女は救いたいと願った』

(たまごまご)