真・女神転生IV(Nintendo3DS用ゲーム ATLUS)
約8年ぶりに出たナンバリングタイトル。前作とストーリーのつながりは無いので、前作をプレイしていなくても安心して遊べます。シリーズ未プレイの人でも楽しめるように、さまざまな調整がしてあります。

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5月23日に発売された「真・女神転生IV」(Nintendo 3DS用のRPG)がとても面白い! ゲームそのものも面白いんですが、3DSのシステムをうまく利用している要素が入っていたりします。これがすごいんですよ。というわけで、紹介していきたいと思います。

●どんなゲーム?

そのシステムの話の前に、簡単にどんなゲームなのかを説明していきましょう。真・女神転生シリーズはいわゆるRPGで、敵を倒して経験値を手に入れ、レベルアップをして強くなります。そうして謎を解きつつ最後のボスを倒せばいいんですね。でも、他のゲームと少し変わっているのは、主人公の味方が人間だけではなく、普段は敵として出てくる悪魔でもあるという点です。

悪魔には会話によるスカウトが可能で(もちろん交渉失敗することもある)、味方になった悪魔(これを仲魔という)は主人公と一緒に戦闘をし、成長していきます。さらに、悪魔同士を合体させて、より強力な悪魔を作ることもできます。この悪魔合体のシステムとダークな世界観が人気で、たくさんのシリーズが作られているのですね。

ちなみにこのシリーズの特徴としては、とてもよく死ぬということが挙げられます。悪魔にはそれぞれ弱点があったりするので(主人公の弱点も装備によって変わる)、どれだけ強くなっても弱点をつかれるとあっという間に死んでしまったりします。なので、歯ごたえを求めている人にはもってこいのゲームなのです。

●すごいとこその1:ゲームコインを使うことができる

真・女神転生IVでは全滅をすると、三途の川へと送られます。そこには渡し守「カロン」がいて主人公にこう言うのです。

「地獄の沙汰もマッカ(このゲームでのお金の単位)次第…賄賂を寄こせばまた現世に復活させてやる。マッカがなければゲームコインでもいいぞ」

ゲームコインというのは、真・女神転生IVとは関係の無い、3DSのシステムで使われているコインです。3DSを持ち歩き、100歩あるくごとに1コインが増えていきます。本体内蔵の「すれちがい伝説」で使ったり、「とびだせ どうぶつの森」ではクッキーを買うことができたりしたのですが、あまり大量に使う機会が無く貯まる一方という人も多いでしょう。そのコインを支払って復活することができるのです。復活すると、最後に死んだ戦闘の直前に戻ります。

とてもよく死ぬ変わりに、お金で解決ができる。ゲーム内のお金を使いたくなければ本体のゲームコインを使える。ゲームコインを貯めるために持ち歩いて歩き回れば健康にもなってしまう。よくできていますね。ちなみに、複数回死ぬと難易度変更することができるようになり、難易度を下げることもできます。

●すごいとこその2:すれちがい通信

3DSのゲームでは、すれちがい通信に対応しているものがほとんどです。同じゲームを遊んでいる人とすれちがうといいことがあるというものですね。真・女神転生IVではすれちがい通信に仲魔を添付することができます。

このとき、自分の送るカードは白か黒を選択することができます。白に添付した仲魔は、すれちがうとパワーアップするのですが、黒に添付した場合は無差別に合体して返ってくるのです。

Lv11まで育てたピクシーを添付したところ、エンジェル(Lv3)→ケンタウロス(Lv1)になり、目も当てられなくなったりもしました。その後もしばらくやっていたら現在の自分のレベル以上の仲魔になったりといいこともありましたが。博打要素が強くて面白いのです。

さらに面白いのは、3DSの機能を利用していること。すれちがい通信は本体にデータを保存する形で行うのですが、1つの3DSには12個までゲームを登録することができます。その中にアトラスの他のゲームを登録している人とすれちがうとボーナスがもらえるのです。このボーナスが結構強力なので、色々なゲームをやっている人とすれちがいたいですね。

ちなみにある程度以上すれちがうと、戦闘中にそれらの仲魔を呼び出して攻撃することができるので、どんどんすれちがいましょう。

●すごいとこその3:追加DLCがいい感じ

DLCとはダウンロードコンテンツの略で、後からインターネット等を通じて購入することができる追加要素です。真・女神転生IVではDLCに対応していて、後から色々な要素を購入することができます。

RPGをやっているときに一番悩ましいのが、主人公達のレベルが低い時。敵を倒して成長したいのですが、経験値稼ぎをするのはちょっと面倒。そんな人のために「地獄の沙汰もレベル次第」というDLCがあります。これを購入して登場するダンジョンでは、経験値になるアイテムがたくさんもらえるのです。あっという間にレベルを上げることができるでしょう。課金でこんなダンジョンにいけるとは、本当に地獄の沙汰も金次第でした。

もちろんそんなものに頼らないでクリアする! という人も多いでしょう。でも、ゲームを楽しみたいけどあまりにも長いものはちょっと遊ぶ時間が足りない……という人もいるはずです。そんなときに活用しましょう。忙しい現代人のためのDLCですね。

もちろんそれだけではなく、装備なども販売されています。序盤で手に入るよりも優れた防具だったりするので、買っておくといいでしょう。

●すごいとこその4:徹底したストレス排除

前項までとかぶるのですが、初めて遊ぶ人が遊ぶ上でストレスになりそうな部分は徹底的に排除されています。でもそれでいて、今までの真・女神転生シリーズのいいところは抑えてあるのですね。

例えば悪魔合体。従来のシリーズではあれこれ試したり相性を自分で調べたりということをしなければなりませんでした。が、初めて触る人には難しく見えるのも事実。そこで今回は「オススメ合体」で手持ちの仲魔の何と何を合体させるのがいいという表示が出てきます。さらに、マニュアル合体がなくなり、検索合体のみになったことで、常に合体できる組み合わせを選べるようになりました。また、三身合体も消えて特殊合体だけになっています。従来のファンからは不評な意見も出ていますが、敷居が下がったのは事実でしょう。ちなみに戦闘中に合体させたりすることもできます。

悪魔合体の際にはそれぞれの悪魔のスキルを継承できるのですが、従来は新悪魔のスキルがあった上で、合体素材となった悪魔のスキルを空いているスキルスロットに継承できたのに対し、新悪魔のスキルも合体素材悪魔のスキルも全て合わせた上でスキルを継承できるようにもなっています。より自分好みの悪魔を育成・合体できますね。

従来のシリーズではいくら仲魔がいても、主人公が死ぬとそこで終わりでした。今回は、全滅でなければ死んだことにはなりません。主人公が死んでも仲魔が頑張ってその戦闘を終えれば、HP1で復活するのです。これもちょっとうれしい変更点ですね。

他にもゲームがテンポよく進むような工夫が随所に凝らされています。月齢やマグネタイトの廃止や、どこでもセーブ&ロードができるところなんかも遊びやすくなっていますね。これはいらないんじゃないかなーと個人的に思った要素は、下にある穴に入る時などにいちいち十字キーを操作しなければならないところぐらいでしょうか。

初心者にも遊びやすく、それでいて従来からのファンが納得する難易度。非常にバランスの取れた名作と言えます。今まで遊んでちょっと敷居が高いと思った人も、この機会に遊んでみてはいかがでしょうか。
(杉村 啓)