こちらはシーズン2のブルーレイBox。huluでパネルディスカッションを調べるとクリップがたくさん出てきますが、1時間27分のフルエピソードを見れば、全部入ってます。

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男って本当に単純だよね
愛する人が傷ついた時
僕らは怒ることしかできないんだ
本当は助けたいのにね

みんな生死に関わる極限状況について考え続けているせいか、はっとさせられる言葉がたくさん出てくる。ドラマ「ウォーキング・デッド」のキャストと制作陣が番組の裏話を語るパネルディスカッションが、huluで公開されている。

「ウォーキング・デッド」は、新しいシーズンが始まるたびに視聴者記録を塗り替えているアメリカの連続ドラマだ。死体が歩き出して文明が崩壊したアメリカで、主人公と仲間たちがサバイバルしていく姿を描いている。いわゆるゾンビものだ。

水や食糧も満足に無い上に、歩く死体「ウォーカー」に襲われる極限状態だから、いつ誰が死んでもおかしくない。実際、シーズンの途中であっても主要なキャラが死ぬこともある。そんなドラマだからトークの内容も、親しい人との別離、極限状態でのリーダーシップとその危険性、愛する人が傷ついたときにどうケアするかなど、各人の死生観にも迫る深いものになる。

司会者はトーク番組「トーキング・デッド」のホストもつとめるクリス・ハードウィック。パネリストは、原作者兼プロデューサーのロバート・カークマン他、特殊メイク担当などの制作陣と、主人公リックを演じるアンドリュー・リンカーン、人気キャラのダリルを演じるノーマン・リーダスなどのキャスト。現場ではいつも極限状態における人の心の動きを話し合っているそうで、みんな生死を共にしたかのように仲がよい。客席のテンションも高く、会場の一体感が伝わってくる。

でも馴れ合っているだけではない。パネルディスカッションの直前に上映されていたシーズン3の第12話に、こんなシーンがあった。車で移動する主人公たちの前に大荷物を抱えて薄汚れたヒッチハイカーがいて、止まってほしいと懇願する。主人公たちは黙って無視して走り去り、ヒッチハイカーは必死に追いすがった後で無様に転ぶ。

普通なら主人公たちが困った人を見捨てるところをわざわざ描写する必要はない。会場にも気分を害した人がいたらしい。日本刀で戦う女剣士ミショーン役のダナイ・グリラが「あのシーンは残酷だけど、すごくリアルだから気に入っている」と答えた上で、客席に問いかける。

ホームレスの前で車を止める人が何人いるかしら
助けを求める人々の前を私たちは素通りしてるのよ
荒廃した世界の話だけど同じことが現実に起きてる

ドラマであっても他人事にできない。「おまえなら助けられるのか」とまっすぐ問いかけてくる。このやりとりをみて、ただアメリカ人がゾンビ好きだから「ウォーキング・デッド」が大ヒットしたわけじゃないんだ、とようやく分かった。

「ウォーキング・デッド」はこれまでにシーズン3までリリースされていて、すべてhuluで見ることができる。このパネルディスカッションはシーズン3の第12話の放映直前に収録されたもので、そこまでの展開のネタばれもある。だから先に12話まで観ておくことをオススメします。(tk_zombie)