世界1位の魚料理! 木箱の名前はその名も“BENTO”

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世界3大料理の筆頭に挙げられることも多いフランス料理。フランスは世界的にもグルメ大国として知られ、フランスの美食術はユネスコの世界遺産にも登録されているほど。

そんなフランス料理界で最も権威ある大会といえば、フランス・リヨンで2年に1度開催される「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」。フランス料理界の巨匠、ポール・ボキューズ氏が設立したもので、いわばフランス料理界の五輪。今年1月には第14回となる大会が開催され、なんと日本人が銅メダルを獲得した。

日本人初の表彰台という快挙を成し遂げたのは、長野県軽井沢の「ホテルブレンストンコート」の総料理長を務める浜田統之シェフ。世界中から選ばれた24ヶ国のシェフと闘い、見事総合3位を受賞した。

ちなみに1位はフランス、2位はデンマーク。フランス料理の大会だからフランスが強いのは当たり前では? と思う人もいるかもしれないが、同大会は決してフランスのひとり舞台ではない。フランスは確かに強いものの、実は今回のフランスの優勝も2007年以来の久々だった。

総合順位では3位の日本だが、課題のひとつである魚料理では、世界1位を獲得したことにも大いに注目したい。しかもその得点は、日本が842点なのに対し、フランス819点、デンマーク810点と、総合1位のフランスを大きく引き離す高得点。料理は味やプレゼンテーション、自国のオリジナル性など、さまざまな基準で評価される。

世界3位になったことを記念し、先日国内で関係者を招いて開催された感謝の集いでは、受賞料理の一部がふるまわれ、世界1位の魚料理もお目見え。一部の料理は試食もできた。

魚料理は、メインがオマールのムースを包んだヒラメのフィレ。ヒラメはほどよい弾力があり、オマールのムースや鱗に見立てて飾り付けた椎茸が上品な旨みをプラス。その繊細な味わいには、自然と頬がゆるんでしまう。この日はゲストが大勢だったので料理は皿のまま供されたが、実際の大会では料理を盛った皿をカラマツ材の弁当箱に入れ、箱の底に仕込んだ発熱剤に柚子のエッセンスを含めたお湯をかけ、箱を開けると湯気が上がるユニークな演出でサーブされた。付け合せは3品あり、そのうち1つは、海苔と紫蘇を合わせた大根のピクルスに、レンコンの素揚げとゴマをあわせたもの。日本らしさが詰まったひと品だ。

「順位はもちろんですが、自分が目指す、フランスの真似ではない日本でしかできないフランス料理が、世界に認められたことが何より嬉しい」
と浜田シェフもコメントしているとおり、日本の技術を活かした日本らしいフランス料理を表現できたことが今回の勝因といえそうだ。

ところで、この大会メニュー、実は期間限定で日本でも食べられる。ホテルブレストンコートメインダイニング「ブレストンコート ユカワタン」では大会で作った料理を再アレンジし、魚と肉料理を組み入れたコース「メニュー・ド・ボキューズ・ドール」(2万3,100円 ※税サ別)として8月31日まで提供中。当初は5月末までの予定だったが、好評のため期間を延長したそうだ。

本場フランスで日本人シェフの作る魚料理が世界1位になったというのは日本人にとっては非常に嬉しいニュース。日本のフランス料理界の今後の躍進にも大いに期待したいところだ。
(古屋江美子)