『ティッケー大作戦!〜YAVAY』(2013年4月4日発売/THE LABEL)
元祖オルタナティブ・アイドル、元祖ギグ・アイドル、そして世界一アガるティッケー・アイドルといくつもの呼び名を持つ3人組。夏に向けてまたまたブチアガる新曲『ハナビート』も準備中。現時点ではまだどういうタイトル表記か不明! 花BEAT? 花火ート? HANABEEEET!?

写真拡大

hy4_4yhというふしぎな名前のアイドルグループがいる。hy4_4yhと書いて「ハイパーヨーヨ」と読む。メンバーは、センターでアイドルらしからぬテンションのユカリン、その右側で負けず劣らずテンションのおかしいチャンユミ、左側には壇蜜をポンコツにした感じのサダチ、という3人。

元々は5人組としてスタートしたが、企画変更やメンバーの脱退を経て、現在のメンバー構成とグループ名になった。hy4_4yh(以後、ハイパヨちゃん)になってからリリースされたアルバムが5枚。シングルが15枚。うわ、思ったよりいっぱい出てる! で、その15枚目のマキシシングル『ティッケー大作戦!〜YAVAY』(2013年4月4日発売)というのが、なんともタイヘンな楽曲なのだ。
インドネシア発祥の音楽にFUNKOT(ファンコット)というのがある。BPM180〜200くらいの高速ダンスミュージックで、スッコンスッコン鳴り続けるカウベルのマヌケ感がたまらない。これを発見し日本での普及に尽力しているのがDJ JET BARONこと高野政所(まんどころ)。『ティッケー大作戦!〜YAVAY』は、ハイパヨちゃんの総合プロデューサーである江崎マサルの楽曲を高野政所みずからがリミックスした、日本初の「FUNKOTアイドルソング」だ。

30年前はアイドルヲタだった過去もあるわたしだが、しばらくその現場からは遠ざかっていたので、いまのアイドル界がどういう状況にあるのかは、正直よくわかっていない。ももクロを見にマレーシアまで行ったときも、シーンの中にいるファンというよりは、まあハッキリ言って野次馬だ。

それでも、音楽だけならばネットで気軽に聴けるので、そのときそのときの話題の曲ぐらいは耳にしてきた。ハロープロジェクト、AKB関連、ももクロ、Perfume、様々の地下アイドルたち……。気に入った曲があれば、CDシングルを買ったりもしている。だけど『ティッケー大作戦!〜YAVAY』はそのどれとも違った。マジでこれはYAVAY(ヤヴァイ)!

どんな曲かは、あのロボット・レストランで収録したというミュージックビデオを見てほしい。

FUNKOTを聴くのは初めてではないが、FUNKOTのリズムに日本人の女の子たちの声が自然に溶け込んでいて、これまでにない興奮を形作っている。元来、歌謡曲というのはロックも演歌もジャズもブルースも、あらゆる音楽を飲み込むフトコロの深い音楽ジャンルだと言えるが、その最新形態がここにある、と思った。

ちなみに、曲のタイトルにある「ティッケー」というのは、FUNKOT曲でのサビ前にしばしば挿入されるボイスのことで、フロア中が「ティッケー!」と叫ぶときのアガる感じを「ティッケー感」と呼ぶのだと高野政所親方は言う(政所氏はメンバーから「ティッケー親方」と呼ばれている)。

そういうわけで、仕事場でも『ティッケー大作戦』を繰り返し再生するほど夢中になっていた5月9日。下北沢のライブハウスSHELTERにて、ハイパヨちゃんと親方のワンマンGIGが行なわれるというので、さっそく見てきた。

いまどきライブハウスでアイドルがライブをするのは珍しいことではないと思うが、客層がやっぱりちょっと違ってた。いわゆるアイドルヲタっぽい人はほとんど見られず、クラブ系っつーの? 親方のファンがほとんどなのでは、という気がしたな。そういう場にハイパヨちゃんたちが出てきても、ちゃんと盛り上がれるんだろうか、なんて心配をしていたのだけど……。

全然心配いらなかった!

曲やダンスが素晴らしいのはもちろん、ユカリンとチャンユミの会場を沸かすトークスキルがタダ者でない。MCで暴走するそんな二人を黙って見守るサダチの保護者感もよかったし、背後のDJブースに控える親方の安定感もいい。なにより、お客さんたちの盛り上がり方がハンパなかった。

マキシシングル『ティッケー大作戦!〜YAVAY』からの曲以外にも、過去曲『ゆけゆけGOGO女の子!!』なんかもFUNKOTアレンジ(=魔改造)されていて、最高にヤヴァかった。この日の夜、下北沢の地下空間にはインドネシアならぬ、マンドコロネシアがたしかに出現していた!

FUNKOTはインドネシア発の音楽だけど、こういうものを見つける人がいて、アイドルっていう文化と結合して、こんなにアガる音楽が生まれるんだから、日本ってやっぱりおもしろい国だ。これからもハイパヨちゃんたちの世界YAVAY化計画を見守っていきたい。(とみさわ昭仁)