「クソゲー」の名づけ親・みうらじゅん氏が、かつてのファミコン少年が選んだ「神ゲー」「クソゲー」ランキングについて熱く語る!

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少年時代、ファミコンに熱狂した20代〜40代の男子200人が選んだ「神ゲー」&「クソゲー」ランキングBEST(ワースト?)5を大発表! さらにその結果を、「クソゲー」の名づけ親・みうらじゅん氏にユルユルと斬ってもらいました……!

【栄光の「神ゲー」BEST5】


1位 スーパーマリオブラザーズ任天堂


2位 ドラゴンクエストエニックス


3位 ドラゴンクエストIIIエニックス


4位 ファミリースタジアムナムコ


5位 ドンキーコング任天堂

【愛すべき「クソゲー」BEST(ワースト?)5】


1位 たけしの挑戦状/タイトー


2位 いっきサンソフト


3位 スペランカーアイレム


4位 バンゲリングベイハドソン


5位 ベースボール/任天堂

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神ゲーの結果は、まぁそりゃそうでしょ、面白いよってのが出そろってるね。

メガドライブで『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が出た頃に、「マリオなんてダサい、今はソニックですよ」なんて飲み屋でのたまってた若者がいたからさ、「マリオがどんなに偉いか知ってんのか!」ってそれが俺の初説教。マリオは命がけで助けにいってさ、ピーチ姫のキス一発しかもらえないんだよ。そんなロンリーヒーローをバカにするなんて許さないから(笑)。だから『スーパーマリオブラザーズ』の神ゲー1位はうれしいね。

で、肝心のクソゲーのほうだけど、まず30年前にもうすでに大人だった僕は、汗水垂らして働いて、出るカセットのほとんどを買ってたわけですよ。自腹の痛みってわかるでしょ? 特にクソをつかまされたときの(笑)。そういう切実な思いが「クソゲーム」って言葉になったんだよ。

でもクソゲーの5位は納得いかないな〜。なんで『ベースボール』? これ神ゲーのほうに『ファミスタ(ファミリースタジアム)』が入ってるけど、そりゃ『ファミスタ』と比べられちゃ仕方ないけど、『ベースボール』あっての『ファミスタ』でしょ。

自分ちのテレビで野球できるってすごい革新的だったんだから。あのときリアルタイムで『ベースボール』を体験した人は、絶対にクソゲーとは言わないと思うけど。『たけしの挑戦状』が1位っていうのもな〜。だってあの理不尽さとか肩透かし感は、当然開発者が狙ってやってたことだからさ。

2位の『いっき』は天下のクソゲーだよね、もはや。タイトルが良すぎ。そもそも農民がひとりふたりで戦って、それを一揆っていえるのかってとこでさ(笑)。まだ当時小学生だった人は、一揆って教科書で習ってなかったでしょ。メーカーとしては小学生でも高学年向けのつもりじゃないの。

ちなみにあまりにも方々でクソだクソだと言ってたんで、当時メーカーからお叱りを受けたこともありましたね(笑)。最近そのメーカーの人に会ったんだけど、まだ気まずくてね。でもおかげで話題になって、かなり売れてたらしいですよ。

3位は『スペランカー』か。4位の『バンゲリングベイ』も妥当なところかな。『バンゲリングベイ』は画面が揺れるから、酔うんだよね、絶えず。

だけど『バンゲリングベイ』よりも、僕としては『頭脳戦艦ガル』をクソゲーに推したいな。

そのゆえんは、もう常人には絶対にクリアできないシビアさ。そのシビアさに心地いい感じが一切なくて、ただただイライラさせられたもんな。ドラクエの作曲家のすぎやまこういちさんと当時お会いすることがあって、同時に『ガル』をクソゲーとして挙げてて、すごい意気投合しましたよ(笑)。マイナーだったけど、それほどバチッと意見が合うってことは、やはりプレイした人は誰しもクソゲーと思ってたってことでしょ。

あとは『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』『聖飢魔II 悪魔の逆襲』『スター・ウォーズ』なんかも入れなきゃ。操作性がすこぶる悪かった。たぶんキャラクターものは版権元にお金取られちゃうんで、開発費に全然回せなくて手抜きになっちゃってたんじゃないかと思うよ。

当時はファミコンの勢いっていうのがすさまじかったんで、全然ゲーム作ってなかったような会社でも、ウチもいけんじゃねぇかって勢いだけでどんどん参入してた時代だったね。そりゃクソゲーが量産されても仕方ないよ(笑)。

●みうらじゅん


1958年生まれ。日本のサブカルの第一人者。ファミコン初期のカセットはほぼすべて自腹購入。“クソゲー”という言葉は、氏が『いっき』を「クソゲーム」と呼称したことが由来。いつしか略されて定着