──さて、とうとう横浜F・マリノスが負けた。なお、マリノスは新潟のホームスタジアムを鬼門としている。まさに、ジンクスが姿をあらわす結果となった。

 試合は1-0で新潟の勝利。スタッフを眺めると、両チーム共に、妙にシュート数の少ない試合となった。新潟のシュート数は6、マリノスのシュート数は7である。なお、管理人の定義する決定機もさほど多くはなかった。つまり、そういう試合であったということである。

 ──4-4-2でセットした新潟が激しいプレスをマリノスにかけた試合であった。最初に新潟の狙いから整理していく。

 なお、今季の新潟の試合は初めて見るが、基本的にプレスが激しいチームのようである。なので、激しいプレスがマリノス対策として特別に行われたということは恐らく無いといってい良いだろう。

 新潟は4-4-2で高い位置からマリノスのDFラインにプレスを浴びせた。マリノスは神出鬼没の俊輔を中心としてボールを保持することを得意としている。なので、最初にマリノスがボールを保持する時間と機会を奪うことを新潟は考えた。手段としては、自分たちがボールを保持するか、試合のテンポを早めることで相手にボールをもたせる時間をなくすことが考えられる。

 新潟は後者の方法をとった。また、マリノスの陣容を眺めると、ボールを保持するという点において、怪しいのはCBである。なので、CBから時間を奪うことで、マリノスのリズムを破壊するという方法は理にかなっている。

 ──序盤のマリノスは中澤を中心にロングボールを連発することで、新潟の狙いを外そうと試みた。ボールが落ち着かないという次点で新潟の狙いは成功しているのだが、ショートカウンターを発動させないという意味で、マリノスは相手の手の上で踊らないようにプレーした。

 ただし、新潟はそこまで読んでいた。残念そこはキム・クナンである。足元に入るボールならば、マルキーニョスや斉藤学の高い技術力によってボールを保持できるが、ハイボールやボールが少しでもずれると、新潟の選手のフィジカルに圧倒される場面が目立った。

 ──なので、俊輔がボランチの位置に常駐して試合を組み立てようと試みる。俊輔の位置には中町が進出することで、バランスを崩さないマリノスの定石である。

 ただし、ファウル覚悟で俊輔に襲いかかる新潟の守備陣。ボールを蹴っ飛ばしてしまうDFとの意思疎通のなさが新潟にペースを与えてしまうことになる。GKまで下げて新潟を走らせることができれば、マリノスは次のレベルにいきそうだが、そういう場面は一切見られなかった。

 ──マリノスは俊輔の位置に応じて中盤のポジショニングを変更する。ときにそれは守備の時にバランスを崩すことに繋がる。例えば、俊輔がDFラインの前でプレーしている時に、CBがロングボールを蹴り、ボールを失えば、俊輔はそのままボランチの守備の役割をこなすことになる。

 また、4-4-2を維持する新潟のほうが選手配置が適切に行えている関係からセカンドボール争いでも優位にたつことができた。また、曲者がレオ・シルバである。まるでマケレレ。独力で中町たちからボールを奪い取ることで、何度もマリノスの攻撃の流れをぶった切っていた。

 ──マリノス側からすれば、計算よりもロングボールがおさまらなかったこと、そしてレオ・シルバの守備力で予期せぬボールの失い方が多かったこと、最後にセットプレーで相手も高さが半端でなかったことがあげられる。

 ボールを保持し、奪われたら素早い攻守の切り替えでボールを奪い取ることで、様々な弱点を隠していたマリノス。しかし、ボールを保持している時の攻撃が相手のプレス、自らの意思統一のずれ、相手の半端ない高さによって狂わされると、ボール狩りも機能しなくなる。

 そして、新潟はさっさと裏に放り込んで競争に苦しめられていた。ただし、前述した俊輔の粘り強い守備や最後に跳ね返せばいいんでしょというマリノスのDFラインの前に、新潟はなかなか決定機を作ることはできなかった。

 ──新潟はブルーノ・ロペスが負傷し川又が登場。田中達也もプレスバックで守備に奔走し、岡本が登場する。高い位置からのプレスを考えると、FWが両方交代したことは事故もあるが、これまた理にかなっている。

 マリノスは試合をコントロールすることよりも、セカンドボール争いや相手にボールをもたせる場面増やすことで、徐々に試合の流れを取り戻していく。マリノスが4-4-2でセットした時の新潟のビルドアップはなかなか可能性を感じさせるものではなかった。ただし、ボールを奪ったときの速攻は後半もなかなかであったが。

 そんな中盤の攻防から新潟のカウンターが炸裂し、最後は岡本が決めて、新潟が先制に成功する。マリノスは前線の枚数を増やして、マルキーニョスが決定機を掴むがシュートは枠の外へ。また、多く得たフリーキックも黒河の積極的な飛び出しと新潟の高さの前に珍しくも沈黙。こうして、マリノスの連勝が止まりましたとさ。

 ■独り言

 全体的にしっかりと守備をするチームが増えている気がする。これも鳥栖と仙台の成功から来ているのだろうか。ボールを保持したほうが負けてしまうのは切ないので、ボールを保持しているチームがどんな工夫をしていくかを楽しみにしておく。ただ、相手のボールを保持のリズムを破壊するために、しっかり守備をするってのは間違いなく正解なので、なんとも言えない。