橋本愛写真集「あいの降るほし」
ワニブックス

足立ユイちゃんもこんな写真集を出す日が来るのかなあ〜

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放送3週め。ますます注目を浴びる、宮藤官九郎脚本の連続テレビ小説「あまちゃん」。
北三陸で海女になった少女アキの成長を描くドラマの1週間を振り返る企画、2回目です。

第1回

まずは、先週のあらすじ!

4月15日〜20日 第3週 おら、友だちができた! 

春子(小泉今日子)の決断で、北三陸に残ることになったアキ(能年玲奈)。
9月になると、足立ユイ(橋本愛)と同じ北三陸高校に転入、放課後は海女の訓練に精を出す。
しかしなかなかウニをとることができない。
功をあせったアキは事故にあい、夏(宮本信子)に海女失格を言い渡される。
海に入ることを禁じられ、夏とも気まずくなってしまったアキを春子は案じる。
その頃、北三陸観光協会では、じり貧状態の観光事業を活性化するべくミス★北鉄コンテストを行うことになった。
秋祭りの日、ミス★北鉄に選ばれたユイが自分の道を突き進んでいることに刺激を受けたアキは、海女に再トライしようと決意する。

ちなみに、アキは秋であることが、転校生が黒板に名前を書く行事で判明しました。

では今週も見どころを9つあげちゃいます

1.なんといっても「ヒロシです」

月曜の朝、多くの視聴者を騒然とさせた「ヒロシです」ネタ。
ユイの兄・ヒロシ(小池徹平)がやってくると、BGMはあの「ガラスの部屋」で、
「足立……」
「ヒロシです」
とやってくれました。
小池徹平が伏し目がちでかげりを帯びていたのは、お笑い芸人ヒロシのオマージュだったとはたまげた。
しかも、一回に終わらず、翌日火曜にも重ねてきたー。さらに水曜にも。
笑いの宮藤官九郎、最初の2週間はややおとなしめでしたが、3週目にして本領を発揮してきたようです。

2.笑い増量!

毎月第一日曜日に行われるという「北三陸市定例の首脳会議」のやりとりでは、クドカンの筆が冴えます。
ミスコンの名前をどうするかで、
「ミス・リアス」「いいね出たり へっこんだり」「ミス不思議の国のリアス」
とか
「ミス脱線」「ミスつり革」「ミス痴漢」「運転ミス」
 こういうの、きっと朝飯前なんでしょうね、クドカン先生には。
しかし「ミス痴漢」っていいのか、朝ドラで。

「ムスメとワカメ どっちが大事よ」
「ウニだと思うからとれねえんだ これからはゼニだと思え」
 こちらは見事な韻を踏んでおります。
 どんどん出てくる言葉遊びに、寝ぼけた頭が活性化。
 朝食は金といいますが、笑いも金。朝の新しい習慣になりそうですネ。

3.コネタが気になる

コネタといえば、90年代半ばから、本広克行監督や堤幸彦監督ドラマに多く見られるようになった、画面の隅に仕掛けられた数々の小道具やギャグ台詞などのことを言います。

「あまちゃん」にも、そんなコネタがちょこちょこ出てきます。

観光協会の事務所にNHKのバラエティー「祝女」のキャラ・無限男子のウチワが置いてあることを筆頭に、オリジナルのゆるキャラが設定されていたり、浜にぶら下がっている球体の(浮き?)にもかわいい顔が描いてあったり、北三陸駅長・大吉(杉本哲太)の「いいねえ」は、先週放送開始された「家族ゲーム」の決め台詞でしょうか。
本筋とはちょっと脱線した要素を楽しんできたコネタ世代が、まさか朝ドラでコネタ探しをすることになろうとは思いもよりませんでした(ナレーションふう)。

コネタ探しをはじめると止まらないのがコネタ世代。思いあまって、「北三陸市定例の首脳会議」中のホワイトボードに何が書いてあるか、画面を止めて(オンデマンドで見返しているんです)チェックしてみますとーー。

第三の名物
わかめジェラート 袖が浜わんこうどん するめジャーキー めかぶバーガー
飲むまめぶ(×がついてる) かつおにんにく 味わうまめぶ イカめし茶漬け
北三陸風お好み焼き スープいか 北三陸ブロッコリー 畑野おでん

でもこれはわりとフツー風味でした。
今後も、スタッフの方々のアイデアに期待します!


4.モータリゼーションに勝るとも劣らないデジタル化の波!

わずか2ヶ月で東京から帰ってきてしまった負け犬として、足立家で肩身の狭い思いをしていたヒロシが、観光協会のWEB担当になって、隠された才能を発揮するエピソードはホッとしました。

カメラ小僧のヒビキ一郎(村杉蝉之介)がユイの動画をWEBにアップしたほうがいいとアイデアを出したことがきっかけで北三陸駅が話題になるというのも、オタクの存在を肯定的に描いていて好感がもてるというか、コビてんなーというか。

その劇中WEBが、実際に番組のHPで再現されているのも楽しいし、
その情報がLINE「あまちゃん」公式アカウントで流れてきまして、ネットを活用しているなーと感心。
「あまちゃん」は朝ドラ・イノベーションですなあ。

5.こじらせ春子さん

ここまで、おもしろ部分を取り上げてきましたが、それだけでは当然ありません。
春子(小泉今日子)と夏(宮本信子)の関係性(母娘の確執)に変化が見られます。

春子「なんかしゃべってよ」
夏「おら24年間ずっとずっと黙って暮してきたんだぞ
急にリクエストどおりに黙ったりしゃべったりできるか」
という会話は深いす。

春子が東京に戻ることを思いとどまったわけは、24年間も離れていた母親との時間を取り戻そうという思いでした。

高校を中退して東京に出ていった春子ですが、あのとき、お母さんが嘘でも止めてくれたら行かなかったのだ、と激白。
夏がアキに海に入ることを禁止したときは、夏の言動はいつも「矛盾だらけなのよ!」と怒りを爆発させます。
「あまちゃん」には「人生の甘えん坊(甘ちゃん)」という意味が含まれているそうですが、春子があまちゃんのようです。

正宗(尾美としのり)に送った離婚したい理由の書かれた手紙に、正宗のことがまったく書かれていなかったというのも、春子、自分勝手過ぎ!
夕飯も正宗がつくっていたと聞いて、正宗の株が上がるばかりなんですけど。

6.衝撃、春子の過去!

「20世紀少年」かよ!
アキが84年の夏から時が止まった春子の部屋に入り込んだとき、テレビの前でそうツッコンでしまいました(ナレーションふう)。
80年代の文化満載の部屋は、春子を形成してきた要素の理解を助けます。

足立ユイとヒロシのお父さん功(平泉成)が春子の高校の先生で、かわいくて他校からも彼女を見にきて整理券が配布された話やツッパリだった話をして、アキと視聴者を驚かせました。

華やかな東京に憧れて出て行った春子と、これからこの土地を捨てて東京に出て行こうと思っているユイが重なるんですよね。
時代は繰り返すんだなあ。


7.ユイが痛かわゆい

「アイドルになりたーい!」と大きな声で叫んだり、
「北鉄のアイドルだったなんて、私には消したい過去だからね」と、まだなってもない時点ですでに過去形で話したり、
ひそかにサインを考えていたり、
ユイ(橋本愛)は微妙に痛いけれど、かわいいから許されちゃうんですよね。
秋祭りの山車に乗った姿は輝いていました!

8.アキの心の声が毒い

「何言ってんだこの子は。開いた口がふさがらないとはこのことです。バカなのか。
毎日あんな分厚いステーキばっか食べてるからどうかしちゃったのかしら。とりあえず、アキは聞こえてないふりを装いました」
というナレーションが、勝手に今週の名台詞賞。
「聞こえない作戦失敗です」も良かったです。

基本的に、アキは無垢な子という印象ですが、こんなふうに時々、主にナレーションによる心の声でやや毒を吐きます。
「食べられない。こんなにはりつめた状況でこんな脂のしたたるサーロインステーキなんて」も、そのあとの肉の美味さに頬を紅潮させている表情があるから余計に笑えました。
そんな思いを心の中で浮かべていても、本気でユイに憧れているっていうのも、
世界の矛盾のひとつでしょうか。

9.アキが知り始めた、まめぶ的人生

2週の間は、北三陸が何もかもステキに見えていたアキですが、3週目に入ると、楽しいことばかりではないことを知っていきます。

火曜に、アキが海で死にかけるといういきなりヘヴィな事件が。
アキ自身はあんまり応えてなかったのに、夏は激しく怒って、海に出入りすることを禁じます。

苛立ちを抑えられない宮本信子(夏)の表情から、危ないと注意したにも関わらず言うことを聞かずに入り江のほうに行ったから怒ってるだけじゃないことが、伝わってきます。
その本心は土曜日に判明。海女の仲間としてではなく、孫として心配だったんですね。

それから、かつ枝(木野花)の息子が若くして海で命を落とした話が出てきて、ふだんは表に出さないけれど、ずっとそれを抱えているのだということが語られます。

北三陸は決して楽しいことばかりではありませんが、みんな笑って過ごしている。
「あまちゃん」は、まめぶのように甘いのか辛いのかつかみかねる複雑な人生が描かれているんですよね。

「友達いない」と言うアキにユイが「みんなそうなんじゃない」っていうのも、
アキが方言を話すことに異を唱えたのも、刺さります。
 
ドラマでは9月も半ば。海も冷たくなってきますが、今週はアキが海女に復帰。
ついにウニをとることができるのでしょうか?
そして、北三陸に電車に乗ってやってきたたくさんのアイドルオタクたちはどんなことをやらかすのでしょうか?

ゴールデンウイークもはじまる週、はりきっていきまっしょい(古)!
(木俣冬)

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