左より自民党の小泉進次郎 衆議院議員、ルース駐日大使
 巨匠スピルバーグ監督が、アメリカ史上“最も愛された大統領”エイブラハム・リンカーンの《世界を変えた28日間》を描く感動のドラマ『リンカーン』が4月19日より全国公開。先日に発表された第85回アカデミー賞では、ダニエル・デイ=ルイスが見事、主演男優賞を獲得している。現代にも通じるリンカーンの“リーダーの資質”と、政治家として、そして家庭人としての知られざる姿を描いた本作は、「今、最も観るべき映画」として全米興行収入は1億8000万ドルを突破しており、オバマ大統領や米上院議員も全員観賞するなど、世代や地位、そして人種を越えて“感動の輪”が世界中に広がっている。

 3月31日には、映画に感銘を受けたアメリカ大使館の要望により、ルース駐日大使主催の試写会を大使公邸にて開催。昭和20年には昭和天皇とダグラス・マッカーサーGHQ最高司令官の会談も行われ、平成13年には対外資産として米国国務省の重要文化財に登録された歴史的建造物のリビングルームに映写機が持込まれ、政財界をはじめとする著名人らを集めて試写を行ってきた。

  
左より越直美 滋賀県大津市長、LINEの森川亮 代表取締役社長、ジャーナリストの田原総一朗氏

 リンカーンの“リーダーの資質”を余すことなく描いた本作にふさわしく、この日集まったのは自民党の小泉進次郎 衆議院議員、民主党の藤末健三 参議院議員と白眞勲 参議院議員、LINEの森川亮 代表取締役社長など、日本の明日を担う若きリーダーたちに加え、マスコミ界からは、ジャーナリストの田原総一朗氏、フリーキャスターの国谷裕子氏、道傳愛子NHK解説委員など錚々たる面々が参加。会場入口ではポップコーンが配られ、盛大な試写となった。

 試写会はルース大使の挨拶からスタート。ルース大使は「このリビングルームでは、歴代の大使達がハリウッド映画を上映してきました。その伝統を踏襲でき、大変光栄です。本作は民主主義のプロセスがいかに難しく複雑であるかを描きつつ、最終的にはその素晴らしさを伝えており大変感動した」と述べた。また、2月22日の日米サミットに参加した際、ホワイトハウスの執務室に飾られた“リンカーン”本人の肖像画を見ながら、これから始まる安倍晋三首相とオバマ大統領の会談で、どのような話し合いが行われるかを考えていたとも語った。挨拶の最後「私は日本で映画を観るのが大変好きです。それは日本の映画館ではキャラメルと塩味の二つの味が同時に楽しめるポップコーンが味わえるからです。今日は塩味しかなくてすみません」と述べると、会場からは笑いと拍手が起こり、試写会がスタートした。

 上映後、公邸内で行われたレセプションでは、ルース大使を交えて映画の感想や、日本と世界の今と未来についての歓談が大いに盛り上がった。

ルース駐日大使
ユニークな時代に大統領を務めたリンカーンの、奴隷制度撤廃という決断が今でも続いていることはとても素晴らしいことです。そして彼はリーダーとして力強く、直面する困難な決定に対しても対処していきます。リーダーは人間であるため、妻や子供もいる場合もあり、そういった意味で家庭とは切り離せません。今回リンカーンの家庭的な面が初めて描かれて、そうした中で一国のリーダーとして大胆な決断を行ったことを尊敬します。あの時の決断が、今のアメリカのリーダーを生んだわけです。リンカーンは150年前の話ですが、戦争と平和、人権、そして議会との調和と今も多くの問題や課題があります。オバマ大統領は、リンカーンと彼の大胆なリーダーシップを尊敬しています。映画の最後、リンカーンはふけてみえましたが、オバマ大統領も最近白髪増えてきました。まだまだ活力に満ち溢れていますけどね(笑)

田原総一朗氏
素晴らしかったです。特にリンカーンのキャラクターは政治家としても、1人の人間としても深く描かれていて、とても感銘を受けました。政治に興味を持っていない人でも、幅広い方に見て欲しい作品です。

藤末健三 参議院議員
150年も前の出来事なのに、人類の尊厳を掲げながら民主主義的な手続きで政策を進めていたことは驚きましたし、そこが描かれていたことは良かったです。政治には東洋的と西洋的なものがあり、日本では妥協しながら葛藤するまさに東洋的なのですが、リンカーンはプロセスを大事にして妥協しないというところで、その違いは感じ取れました。過去の話を題材にした作品を、フィルムで観られたことも良かったです。

白 眞勲(はく しんくん) 参議院議員
2時間半という時間なのにあっという間でのめりこんでしまいました。自由と民主主義とは何なのか、アメリカがいかに苦しんで成長していったのかがこの映画を通してとても伝わりました。政治家だけではないですが、家庭と仕事のジレンマや葛藤はみんな同じなのだなと本作でよくわかりました。

LINE 森川 亮社長
有名な人物なので大まかな部分は知っていた分、演技やストーリーをより細かく観ることが出来ました。リンカーンは理念を仲間と一緒に引っ張っていくことは尊敬しました。共感をよんで周りを惹きつける、そういう意味でもすごいリーダー像ですね。家庭の中でのリーダーシップをとっている様子も描かれており良かったです。大使館の中で観られたことも感慨深かったです。

大津市市長 越 直美
懸命に法を改正するために突き進んでいくところにとても感動し、思わず泣いてしまいました。観る前は歴史上の人としての印象でしたが、家庭と仕事の苦悩が描かれていて見入りました。奥さんとのやり取りは、どこの家庭にもありそうでとても身近に感じました。息子とうまくいかない様子や葛藤も良かったです。

映画「リンカーン」オフィシャルサイト