恋愛運があがるうどん？ 噂の伊勢うどんを食べてみた
コラムニストの石原壮一郎が紹介しているのは、自ら伊勢へ行き取材したみなみ製麺社長の言葉。いったいどんなうどんなのか。
第一回お宝三重県グルメ試食会&トークライブに行ってきた。「三重県のオススメを堀口文宏がチョイスした『ホリチョイ本』」の刊行記念イベントだ。出演者は、堀口文宏、中野ダンキチ、石原壮一郎。本に載っている三重の名品のなかから、伊勢うどんと、鳥羽市が認定するとばーがーが試食に選ばれた。
石原「伊勢うどんはタレを食べるためのうどんなんです。どうすれば絡むだろうって、考えてこの姿が出来上がったんですね。例えば、みなみ製麺さんは、タレがよく絡むように、特注の製麺機で麺の表面に微妙なささくれを入れています」
今回の試食では、大正時代から続く名店「ちとせ」の伊勢うどんが供された。かき回すと、白い麺はたちまち黒く染まった。
石原「お伊勢さんでは、白と黒は特別な色なんです。聖なるところには白い石、それ以外のところには黒い石を敷いた。伊勢うどんもまさしく白と黒ですから、食べるパワースポットと言ってもいい。７回絡ませると恋愛運が、８回だと金運がよくなる。まあ勝手に言ってるだけですけど（笑）。かき回して、白と黒が渾然一体になれば、究極の和ですね」
そう言われると、絡ませる行為が神聖な儀式のように思えてくる。口にふくむと、飲むように呑み込めた。ふわふわの綿に例えられるだけあって、コシがない。
石原「伊勢うどんを食べたことのない人たちがですね、うどんはコシだとかツルツルシコシコだとか言う。うどんの多様性を知って欲しい」
堀口「お客さん、石原さんがここにいないと思って正直に答えてください。どうですか？ 伊勢うどんは」
来場者１「歯ごたえがないのが不思議な感触ですが、美味しいです」
来場者２「アリです。受け入れられます」
来場者は戸惑いながらも温かく受容していた。
「dancyu４月号」うどん大特集の「コシ至上主義にもの申す ふにゃふにゃでいいじゃないか」という記事で、伊勢うどん、京うどん、博多うどんが紹介されている。京うどんはだしが命。「大弥食堂」のページに、うどんが柔らかすぎると溶けてだしが濁るから気をつけているとある。博多うどんもだしへのこだわりを見せる。同じふにゃふにゃ仲間のなかで比べても、タレと麺が渾然一体となって絡み合うことを目指しているところが、伊勢うどんの個性なのだと分かる。
伊勢うどんが食べられるのは、東京だと現在15軒ほど。
情報は伊勢うどん友の会がTwitter、Facebook、ブログで発信している。
なお、お宝三重県グルメ試食会は、二回目も開催予定だ。本場でしか食べられない味を、ぜひ東京で。
(与儀明子)
