「551蓬莱の豚まん」はなぜ東京に出店しないのか?
「551蓬莱の豚まん」は大阪人のソウルフードです。いえ、大阪人でなくても、「551蓬莱の豚まん」を小さいころから食べ、「故郷の味」として愛する人は多いのではないでしょうか。もちもちとした皮、肉汁たっぷりのジューシーな餡(あん)はほかに代えようのない「味」です。
ところが、なぜか551蓬莱の出店は関東にはありません。「せめて1店舗だけでも東京にできないものか」と思っている関西出身の人は多いのではないでしょうか。なぜ出店がないのか、その理由を551蓬莱さんに聞きました。
広報ご担当の杉井雅彦さんにお話を伺いました。
■大阪に根付いた味でありたい!
――551蓬莱の「豚まん」をなんとか食べたいと思う関東在住の関西出身者は多いと思うのですが、なぜ東京に出店しないのでしょうか? 何かポリシーでもあるのでしょうか?
杉井さん はい。大きく二つの理由があります。一つは、私どもの「豚まん」は大阪で生まれて、大阪の人に愛されてきました。ですから大阪の人といつまでも一緒にいたいのです。大阪の人への恩返しとでもいいますか。
大阪に皆さんが来られたときに「あ、あれ食べに行こ!」と思っていただけるものが一つぐらいあってもいいのではないでしょうか、という気持ちです。またほかの地域へのお土産に「大阪でしか手に入らないもの」として使っていただきたいという気持ちもあります。
ですが「食べたいんやったら来てや」みたいな話ではありませんよ(笑)。全国で食べていただきたいと思っておりますので、温かくはありませんが、通信販売で購入していただけるようにしております。
■最適発酵の生地を維持するため!
――二つ目の理由は何でしょうか?
杉井さん これは品質の問題です。うちの豚まんをおいしく食べていただくには生地が最適な発酵度合いになっていなくてはいけないんです。
――551蓬莱の豚まんは、あの「もちもち感」が魅力ですもんね。
杉井さん ありがとうございます。生地は弊社の本社にある工場で作っているんですが、その生地が最適発酵の状態を保てるのが「150分以内」なんですよ。ですから本社から150分以内の場所にしか出店をすることができないんです。ということは滋賀県の「草津」が東の限界です。
――それより東に生地を移動させることができない?
杉井さん そういうことですね。
■催事場に出店する場合は!?
――百貨店の催事場などで、551蓬莱さんが出店されていることがありますが、あの場合はどういう仕組みになっているのでしょうか?
杉井さん 弊社の催事チームが生地を作るためのミキサーを持参で全国を飛び回っております。昔、弊社の生産規模がそれほど大きくなかったころに使っていた生地生産用のミキサーです。
――催事場の出店に並んだことがありますが、「1時間待ち」などはざらですよ。いらちの大阪人でも並びますから。
杉井さん ありがとうございます。おかげさまで、通信販売も含めまして1日平均14万個の豚まんをご購入いただいております。冬の時期には20万個も売れる日があります。
■全国展開はない!
――東京に出店すると売れると思うんですが……。
杉井さん そうかもしれません(笑)。ですが、先ほど申し上げました二つの理由もありまして、やはりその可能性は低いですね。
――ポリシーを変えることはないのでしょうか?
杉井さん 冗談ですが、弊社の社長が「わしの目の黒いうちは全国展開はない!」と申しておりますので、難しいと思います(笑)。
残念ながら、551蓬莱の豚まんを東京に誘致するのは無理なようです。トホホ。
(高橋モータース@dcp)
*「いらち」……関西地方の方言で「短気」「せっかち」の意味です。
⇒『551蓬莱』の公式サイト
http://www.551horai.co.jp/