まさに、恐ろしきシナリオが展開しだした。米国の天文学的な財政赤字に付けこみ、「中国が尖閣強奪の軍事行動を起こす可能性が高まっている」というのだ。
 外信部記者が語る。
 「コトの発端は、3月1日に米政府が大幅な歳出削減法を発動させたこと。同法案は'11年度に可決され、『期限までに財政再建が提示できなければ、国家予算から10年間で一律1兆2000億ドル(約110兆円)を削減する』と決定されたが、与野党のねじれで再建策が決まらず、全ての予算が一律強制削減される結果を招いてしまったのです」

 要は、数千兆円とも言われる財政赤字の解消に、ついに米国が手を付け始めたわけだが、恐ろしいのはその削減内容なのだ。

 実は、米国では国家予算の約30%近くを国防費が占めており、米軍予算が大幅に削られるのは確実。これにより在日米軍による尖閣警備が、大打撃を受ける可能性が高まっているのだ。外信部記者が続ける。
 「国防費は別の財政再建案でも、'21年までに約43兆円の削減が決定しており、この法案執行でさらに約46兆円の削減が上積みされる予定なのです。これが実施されると、東アジア地域の海軍活動は3分の1に低下する。具体的には、現在11隻運行する米空母のうち4隻が停止。一方で艦船整備スタッフら75万人がリストラされ、この機を狙って中国が尖閣の強奪、実効支配に乗り出す可能性が指摘されているのです」

 実際、こうした懸念はすでに現実のものになりつつあるという。
 「中国は同国初の空母『遼寧』を、これまで遼寧省の大連を中心に運航してきたが、2月27日に尖閣に近い、山東省の青島を母港にすると発表しているのです。中国海軍は『ここを拠点とし、艦載機の離着陸訓練や兵器・装備の試験を続ける』と豪語しているが、これが米国の軍備縮小を狙ったものであると見られているのです」(自衛隊関係者)

 尖閣への睨みを利かせる米空母が停止した時点で、中国海軍が開戦の火ぶたを切る−−その可能性が俄然高まってきているのだ。