一方で金融機関は、中古住宅向けの住宅ローンを充実させており、リフォーム費用を含めて物件価格の1.2倍まで貸し付けるタイプのローンも数多く登場している。

「中古住宅の信頼性が高まり、安心して買える環境が整えば、マイホームの選択肢は今まで以上に大きく広がるはずです」と長嶋さん。

また前出の山邊氏は、「今後、住宅ローン金利が上がることを考えれば、頭金程度で手に入れられる中古住宅を買うのも方法です。300万円もあれば東京近郊でも借地権付きの中古住宅を買えます。ローンで苦しまないようにするには、お金を借りないことが何よりですから。取得価格を抑えれば、ローン返済もラクになります」とアドバイスする。



長嶋 修(OSAMU NAGASHIMA)
不動産コンサルタント

広告代理店を経て、1994 年住宅・不動産デベロッパーに入社。99年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」を設立。中立的な立場で個人向け不動産コンサルティングを行なっている。著書に『絶対に後悔しないマンション購入術○と×』(エクスナレッジ)など多数。


山邊 浩(HIROSHI YAMABE)
リック住宅センター代表

20歳から不動産会社を経営し、取扱業者の少ない店舗不動産や高利回りの投資用不動産を手がける。



現場を直撃! 失敗しない住宅の買い方、ローンの借り方
正直なところ、今は住宅の買い時とはいえません。消費税増税前の駆け込み需要によって、販売価格が適正価格よりも高めになっているからです。

もし今の時点で買うのであれば、たとえば月10万円程度の家賃収入が見込める中古住宅を投資用物件として現金で取得し、家賃15万円程度の賃貸物件に住みながら大家業をしたほうがいいと思います。家賃収入によって自分が住む家の家賃を補填するという仕組みです。

職業柄、お客さまから住宅ローンのご相談をいろいろと受けるのですが、ローンを返済できる余裕のない人ほど変動型の住宅ローンを選ぶ傾向があるようです。

確かに変動型なら月々の返済額は7万〜 8万円で済むかもしれませんが、それはあくまで金利が今の水準だからこその話。特に若い人は1980年代、90 年代の高金利時代を知らないので、金利が上がった時に返済負担がどれだけ大きくなるのかをイメージできない人が多いようです。

厳しいことを言うようですが、そもそも金利が急上昇した場合に返済できる余裕のない人は住宅ローンを借りるべきではありません。

あえて住宅ローンを借りるのであれば、金融機関から出された条件は絶対うのみにしないことが大切です。金利が1%と言われても、ほかの金融機関でさらに低いところがあれば「もっと低くなりませんか?」と粘り強く交渉してみましょう。そして、少しでも良い条件を引き出すためには、とにかくできるだけたくさんの金銭や資産関連の資料を提出すること。親や親戚の資料も用意するなど、利用できるものはとことん利用すべきです。

久津那 正人
リック住宅センター 取締役支店




この記事は「WEBネットマネー2013年4月号」に掲載されたものです。