高給なの?薬剤師の興味深い話

お医者にかかると処方箋(しょほうせん)をもらいます。その処方箋を持って「調剤薬局」に行くと、その薬を購入できます。この調剤薬局って必ずと言っていいほどお医者さんの近所にありますよね。もちろん便利なので助かるのですが、これはどういうわけなのでしょうか。ほかにもいろいろ薬剤師さんに聞いてみました。

今回お話を伺ったのは、ある調剤薬局で管理薬剤師を務めておられる薬剤師さんです。

■お医者さんにスジを通しておくよ!

――調剤薬局って、どこもたいていお医者さんの近所にありますが、あれは狙ってやってるんですか?

私が知っている限りですと、お医者さんが開業するのに合わせて調剤薬局もオープンすることが多いですよ。だいたい同時に開業するんじゃないかな。

――えっ? お互いに話し合ってオープンしてるんですか?

今、私が勤務している調剤薬局は、皮膚科の先生が開業するのに合わせて2年ほど前にできました。その際には、先生にあいさつに行って、どんな薬をよく処方するかといった話を伺いましたよ。

――そうやって話を通しておくんですね。

その方がお互いに便利ですので。先生からすれば、自分が処方箋に書いた薬を患者さんが調剤薬局で確実に入手できます。私たちからすれば、どんな薬を在庫に持っていればいいかが分かりますから。

薬ってやはり高価なので、無駄に仕入れたくないんですよ。無駄な在庫を持つと大変なんです。

――在庫を気にするのは普通の小売店と同じなんですね。

それはもちろん。薬の管理は厳格に行われますから、その点でも在庫管理はしっかりしないといけません。

――話は戻るんですが、そのお医者さんが開業するぞ! というのはどうやって知るんですか?

それは人脈でしょう。私は雇われ「管理薬剤師」ですので、その人脈までは分からないですが。やはり「開設者」にはそういう人脈があるんですよ。そうでないと同時に開業できたりはしないです。

■日本で使用される薬の種類は!?

――どのくらいの種類の薬を用意しているのですか?

日本で使われる薬って何種類ぐらいあるかをご存じですか?

――いえ見当もつかないです。

約1万8,000種類と言われています。調剤薬局では、そのうち約1,000種類ぐらいを持っている場合が多いと思います。うちの薬局は、皮膚科という専門医の「門前薬局」なので、それより若干少なくて約800種類ぐらいですね。

――「門前薬局」って何ですか?

お医者さんの近くで営業している調剤薬局を「門前薬局」と言うんです(笑)。

■知っていますか?「おくすり手帳」

――最近の話題で、何かトピックはありますか?

そうですね……。薬の処方を受ける人全員に「おくすり手帳」が発行されることを知ってますか?

――何ですかそれ?

あなたは、最近お医者さんにかかってないでしょう(笑)。2012年4月1日から調剤薬局で「おくすり手帳」(薬識手帳)が原則全員に発行されることになりました。これは、その人にどんな薬を処方したかの履歴を記録するものです。

これがあると、飲み合わせの問題や、アレルギー、副作用などをチェックできて便利なんです。

――なぜ、その手帳を導入することになったんですか?

3.11の大震災が大きな影響を与えています。あの地震で病院にあったコンピューターが壊れて、治療履歴などのデータが失われてしまいました。そのときに「おくすり手帳」は記録として、患者さんの治療に大変役立ったんですよ。

それで原則、薬局でお渡しすることに決まったんです。

■薬剤師は高給ですか?

――薬剤師は給与が良いという話なんですが……。

誰がそんなことを言ってるんですか(笑)。そんなことないでしょう。普通だと思いますよ。先日、近所であるチェーン調剤薬局の「薬剤師募集、年収は新卒600万、経験者650万」というチラシがありましたが。

――今、日本のサラリーマンの年収が400万円ぐらいですから、600万円だったら平均収入以上ですよ!

いや、そこぐらいまでしかいかないってことですよ(笑)。薬剤師で年収1億円とか聞いたことないですもん。「夢がない」とも言えますよ。あと、人材募集のチラシを見ていただければ分かりますが、「店長待遇」とか「管理薬剤師」といった文言をウリにすることはほとんどないでしょう? これは待遇にほとんど差がないからですよ(笑)。

――以前、「子供に就かせたい職業は?」というアンケートをやったことがあるんですが、「薬剤師」という答えは第5位でしたよ。

なぜそんな人気があるのか私が聞きたいですね(笑)。

――なぜ薬剤師の職に就かせたいかの理由を聞いたらですね、ある男性からは「偏差値30台の薬学部卒でも、資格さえ取ってしまえば収入はハイクラス」という回答をもらいました。

先ほど申し上げたとおり「ハイクラス」は言い過ぎだと思います。ただ、もし良い点があるとすれば「食いっぱぐれない」ということでしょうか。

――薬剤師は食いっぱぐれないですか?

はい。私も「食いっぱぐれ」だけはないと思っています。まず調剤薬局がつぶれたなんて話は聞いたことありませんし。

薬の処方がなくならない限り、仕事がなくなることはないです。一緒に働いている薬剤師のみんなも「職がなくなることだけはない」と思っているでしょう。最悪、今働いている薬局がなくなっても、探せばどこかに職はあるだろうと思っています。

――そういう風に思えるのがうらやましいですよ。

実際に伺ってみると、薬剤師の仕事は面白そうです。何より「食いっぱぐれ」がなさそうなのがイイですね。

(高橋モータース@dcp)