今から26年前、メジャー通算215本塁打のボブ・ホーナーが29歳の若さで日本球界(ヤクルト)入りを果たしたが、「地球の裏側にもうひとつの野球があった」と皮肉たっぷりの言葉を残し、1年で日本を去った。

 以降、メジャーで本塁打王のタイトル経験のあるケビン・ミッチェル(ダイエー=現・ソフトバンク)や、シルバースラッガー賞を獲得したマイク・グリーンウェル(阪神)など、メジャーで輝かしい実績を誇った選手が日本でプレイしたが、実力を発揮することなくアメリカに帰っていった。

 こうした過去もあって、日本の各球団は大物メジャー選手の獲得には慎重にならざるを得なかった。しかしここに来て、再びメジャーで実績を残した選手が日本にやって来る傾向にある。

 今年もメジャー通算434本塁打の実績を誇るアンドリュー・ジョーンズ(35歳)が楽天に入団した。ジョーンズはブレーブスに在籍していた2005年に、51本塁打、128打点で二冠王に輝き、オールスターも5度出場し、ゴールデングラブ賞も10回獲得するなど、これまで日本でプレイした外国人の中では最高の実績を持った選手と言っていい。同じく楽天に入ったケーシー・マギー(30歳)もタイトルこそないが、ブルワーズ時代の2010年に157試合に出場し、2割8分5厘、23本塁打、104打点の数字を残している。

 また、ソフトバンク入りを果たしたヴィセンテ・パディーヤ(35歳)はメジャー通算108勝の実績を持ち、ブライアン・ラヘア(30歳)は昨年のオールスターに出場した選手だ。さらに、巨人に入団したホセ・ロペス(29歳)もマリナーズ時代の2006年にオールスターに出場している。

 ちなみに、各選手の昨シーズンの成績は以下の通り。

■打者
ジョーンズ=1割9分7厘、14本塁打、34打点 
マギー=2割1分7厘、9本塁打、41打点 
ラヘア=2割5分9厘、16本塁打、40打点 
ロペス=2割4分6厘、4本塁打、28打点 

■投手
パディーヤ=4勝1敗1セーブ、防御率4.50

 昨シーズンの成績を見れば、ラヘア以外は全盛期を過ぎた感は否めない。それでも今シーズン、メジャーでの契約を優先させようと思えば、バックアップ選手として契約を勝ち取ることはできたはずだ。だが、彼らは異国である日本でのプレイを選択した。その理由はどこにあるのだろう。

 昨年、松井秀喜の契約がなかなか決まらなかったように、昨今、ベテラン選手の契約は厳しさを増している。その背景にあるのは、コストを抑えたい、自前で育てた若手を起用したいというチーム側の思いだ。そしてベテラン選手たちは、バックアップ要因として買い叩かれる。昨シーズン、40歳でヤンキースと契約したラウル・イバニエスがいい例で、一昨年は約12億円あった年俸も、昨年は1億円だった。

 今回来日した外国人選手の昨年の年俸は、日本円に換算するとジョーンズ約2億円、マギー約2億5000万円、パディーヤ約1億5000万円、ラヘア4800万円、ロペス8000万円。そして今シーズンの年俸は、ジョーンズ3億円、マギー1億3000万円プラス出来高、パディーヤ2億9000万円、ラヘアは2年契約の4億5000万円、ロペス8000万円。ラヘアこそ破格の契約だが、他の4人に関しては昨年を大きく上回る金額が保証されているわけではない。つまり、お金が大きな理由だとは考えにくい。

 2009年から3年間はドジャースでパディーヤとプレイし、昨シーズンはヤンキースでジョーンズ、マギーとチームメイトだった黒田博樹は、彼らの性格を理解した上で日本行きを決断した理由について語った。

「メジャーに日本人選手がたくさん来る時代になり、日本野球の良さを理解するようになったという背景があるのではないでしょうか。でも、いちばんの理由は出場機会だと思います。野手なら毎試合スタメンで出たいし、投手なら先発として1年間投げたい。メジャーではそのチャンスが少ないと判断したのだと思いますけどね」

 彼らが真摯に出場機会を求めて日本に来たのなら、日本の野球に溶け込もうと努力をするだろう。ならば、自ずと結果はついてくるはず。それだけの実力は持っている選手たちだ。昨年もメジャー最多勝の経験があり、鳴り物入りでソフトバンクに入団しながら、わずか1試合で「日本の野球に馴染めなかった」と帰国したブラッド・ペニーの二の舞にだけはなってほしくない。

 メジャーでの実績を引っ提げ、海を渡った大物選手たちには、さすがと思わせるパフォーマンスで、日本のファンを魅了させてほしいと思う。

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