西田敏行、被災者の言葉に涙「この映画に参加して良かったと確信しました」

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俳優の西田敏行、君塚良一監督らが19日、都内にて行われた映画『遺体 〜明日への十日間〜』(2月23日公開)のプレミア試写会に出席し、舞台あいさつを行った。

この日は、西田が演じた役柄のモデルとなった千葉淳さんも登壇し、2人は久しぶりの再会を果たした。

原作は、ノンフィクション作家・石井光太のルポルタージュ『遺体 震災、津波の果てに』。

2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波に襲われた岩手県釜石市、その廃校となった旧釜石第二中学校に設けられた遺体安置所を巡って、過酷な状況と向き合った人々を描き出した。

西田が演じるのは、釜石市の民生委員・相葉常夫。

次々と運ばれてくる遺体を前に多くの人が立ち尽くす中、ボランティアを志願した相葉は、過去に葬儀会社に勤務していた経験を生かし、遺体の扱いや死の尊厳を周囲に説いていく。

そのモデルとなった千葉さんとの再会に、西田は「似てるでしょ? 兄弟みたいだと思いますよね」と笑顔を見せながらも、千葉さんから「本当に無垢で真っ白な気持ちでやって(演じて)いただいて本当に敬意を表します」と声を掛けられると涙ぐんでいた。

2人にとって印象深いシーンとなったのが、相葉常夫の裸足。

映画では、泥にまみれた遺体安置所を裸足で歩く相葉の姿を映し出しているが、これは西田の提案で行ったことで、原作で触れられてないのはもちろんのこと、千葉さんも実際には靴を履いていたという。

そのことについて西田は、「状況として靴なんか脱げないというのは十分承知していたのですが、劇化することによって千葉さんたちの気持ちを少しは代弁できるのではと思いました」と明かすと、千葉さんは「寒かったですし、とても裸足でできる仕事ではなかったんですが、私以上に仏さんの尊厳を重視してくれたと思います。

本当にありがたいです」と感謝の気持ちを伝えた。

この日の試写会には、ボランティア参加者や釜石市出身者が招かれた。

観客から「映画を作って下さってありがとうございます」「『津波が憎い』というセリフから、忘れかけていたものを思い出させていただきました」「被災地に力が注がれるようにこれからもよろしくお願いいたします」などの声が寄せられると、西田は頭を下げながらハンカチで涙を拭った。最後に西田は観客に向けて、「お話をうかがっている内に、この映画に参加して良かったと確信しました」と伝え、「東日本大震災に被災された方々に、いつも忘れていないよとメッセージできる作品になったのではないかと思います」と語りかけた。