こうした調査は地質調査によって得られたデータから割り出すのだが、九州全域にある活火山の活動も巨大地震発生を予測する重要な指標だ。

 琉球大理学部の木村政昭名誉教授が言う。

「東日本大震災で三陸沖のストレスが取れた結果、太平洋プレートが南に押してくる圧力が強まって、桜島、新燃岳などの火山活動が活発化していると思われる。注意しなければならないのは内陸地震です。歴史を見てもわかるように90〜95年まで続いた雲仙普賢岳噴火の真っただ中に阪神淡路大震災が発生し、その1年後の96年、日向灘地震が発生した。これは単なる偶然ではありません」

 ということは、桜島が年明けから約1カ月の間に100回以上も噴火したのは、大地震の危険な兆候を示していると言えよう。

 さらに気がかりなことがある。地震調査研究推進本部の本蔵義守地震調査委員長は、今回発表した長期評価について、

「海溝型の日向灘地震を考慮に入れておらず、また、未評価の活断層もある。九州は決して地震が少ない所ではなく、発生確率が低いとは言えない」

 と語っている。つまり、日向灘地震を含めると大地震の発生確率はもっと高くなるというのだ。

 前出の木村教授に続けてもらおう。

「日向灘沖は南海トラフの西端に当たり、相当なエネルギーがたまっているはずです。戦後だけ見ても、61年、68年、84年、96年と4回も大きな地震が発生している。フィリピン海プレートはここで大陸側のユーラシアプレートの下に潜り込んでいるため陸地で大きな被害は発生していませんが、津波の発生は考えられる」

 また木村教授は、もし内陸で活断層が動いて地震が発生した場合、

「M8の直下型は巨大地震です。海溝型の地震とは比べ物にならないくらいの甚大な被害が生じるでしょう」

 と警告する。

 冒頭の渡辺教授も、

「直近ではM7・0を記録した福岡県西方沖地震があるが、最大震度6弱でも都会は大混乱に陥る。予測されているようなM8クラスが発生すれば、阿鼻叫喚の地獄絵図ですよ。阪神淡路大震災を思い起こしてください」

 熊本市の人口は73万人、福岡市は148万人だ。