「日本犬」というと6種類なんだって!
「日本犬」というと皆さんはどんな姿を思い浮かべるでしょうか? 茶色の柴犬でしょうか。それとも「花咲かじいさん」に出てくるような白い「ポチ」でしょうか。日本犬というと6種類を指すそうです。
公益社団法人『日本犬保存会』という日本犬の保護に努めてきた団体があります。設立は1928年(昭和3年)ですからもう80年以上も活動しています。
「日本犬」というと、この日本犬保存会が「日本犬標準」としている以下6犬種のことをいうのだそうです。
●小型犬の「柴犬」
●中型犬の「紀州犬」
●中型犬の「四国犬」
●中型犬の「甲斐犬」
●中型犬の「北海道犬」
●大型犬の「秋田犬」
この6犬種はすべて天然記念物です。それもずいぶん昔、昭和初期に、保存に値する畜養(人間が飼い養う)動物として国の天然記念物に指定されています。
秋田犬は1931年(昭和6年)、甲斐犬は1934年(昭和9年)、紀州犬は1934年(昭和9年)、柴犬は1936年(昭和11年)、四国犬は1937年(昭和12年)、北海道犬は1937年(昭和12年)に日本の天然記念物になりました。
■それぞれ原産地と特徴は!?
純血種を維持するのはとても大変だそうですが、6犬種それぞれの原産地と特徴を見てみましょう。
●アイヌの人と共に生きた「北海道犬」
現在最も有名な北海道犬は、ソフトバンクの一連のCMに登場する「お父さん」でしょう。北海道犬は、アイヌ民族が北海道で飼育してきた犬種です。縄文人が東北から北海道に連れて移動したのが元ではないかといわれています。
●大きくてたくましく愛らしい! 「秋田犬」
品種として確立されてからまだ100年ぐらいしか経っていない、実は新しい犬種。元々は中型犬の「秋田マタギ」という名前の狩猟犬だったそうですが、交配を繰り返し、大型犬になったそうです(秋田犬は日本犬で唯一の大型犬)。
この大型犬への移行は、秋田での闘犬熱が後押ししたとのこと。闘犬が衰退しても秋田犬は大きくて、たくましく、愛らしい形のまま固定されたのです。
最も有名な秋田犬「忠犬ハチ公」は今も渋谷にいますよ! ちなみに秋田県の大館市にもハチ公像があります。
●縄文時代から一緒にいたよ! 「柴犬」
柴犬というと、茶色でクリンとした尻尾を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
日本犬保存会によれば、主な毛の色は、「赤毛」「黒毛」「胡麻毛」の3種類。赤毛というのが茶色のことです。一番多いのは赤毛の柴犬で、若干ですが白色の柴犬もいるそうです。
縄文時代から日本中にいて、その時代にはすでに人間と一緒に暮らしていました。各地の小型犬を統合して固定したので、柴犬だけ犬種名に原産地の名称が付いていません。
●とても頭が良くて虎毛が魅力! 「甲斐犬」
山梨県原産の犬種です。毛は黒系統のものが多く、「黒虎毛」「中虎毛」「赤虎毛」が主な毛の色とされています。野性味あふれる犬種で俊敏な個体が多いのだそうです。とても頭が良く、また主人以外には懐かない性質といわれます。
●普段はおっとりしている白いヤツ! 「紀州犬」
和歌山県や三重県など、紀伊半島南部の山間地帯で、狩猟犬として飼育されてきた犬種です。白い犬が圧倒的に多いのも特徴だそうです。どちらかというと悠然とした、おっとりタイプの犬だそうです。
●山の中でもひょひょい行くよ! 「四国犬」
高知県を中心に四国の山間部で飼育されてきた犬種で、昔は「土佐犬」と呼ばれていたそうです。しかし、あの「闘犬の土佐犬」と紛らわしいので「四国犬」と呼んでいるとのこと。
山歩きでも動きは軽やか。その俊敏さ、精悍な様子は四国犬ならではだそうです。
■7犬種目がいた!
実はこのほかにもう1犬種「日本犬」がいたそうです。それは「越(こし)の犬」という、北陸地方を中心に飼育されていた犬種です。1934年(昭和9年)に天然記念物として登録されています。
ところが頭数が激減し、残念なことに1971年(昭和46年)ごろ、純血種が死滅してしまったのです。そのため越の犬は、現在では幻の「日本犬」になってしまいました。
縄文時代から柴犬がいたなんて驚きですが、そのころからずっと今まで人間の良きパートナーだったのです。かわいがってあげないといけないですね。
(高橋モータース@dcp)
⇒『日本犬保存会』のサイト
http://www.nihonken-hozonkai.or.jp/index.html