「ラッパーと恋をする」(iOSアプリ:無料)「誰かインダハーウス?」

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異色設定の恋愛ビジュアルノベルゲーム『ラッパーと恋をする』が、すごい!
笑う、笑って、ワクワクして、ラストはちょっと胸が熱くなる。
しかも、無料、iOS対応。
ハッキリ言おう、これはイイよう。
最先端の恋愛ゲーだぜ、セイホー!(ホー!)

一週間補習を受けることになった成績悪い二年生の女ラッパー、MC鹿島田。彼女が主人公だ。
廊下に突然、登場する男。
「YO廊下の途中!また補習!やってきたぜこの、スクールに!スムーズに!テスト普通ムリ!アァン!」
突然ラップだ。どんな男だ。
「不審者だ」って反応もいたしかたない。
無視して教室入るも、補習を受けるのは、みんなラッパー。
教室を見渡して「誰かインダハーウス?」w
設定のセンスと強引さとテンポのいい展開に、つっこんだり、笑ったり。

「セルアウト村の出身なんだ、実は」
円城くんの告白。
“セルアウト、とは、巷のPOPな音楽に染まりきってしまったアーティスト、元ラッパーのことをディスるときに使う。”
さらっとラップ豆知識が入って、ラップに詳しくないって人もだいじょうぶ(私も詳しくないです)。
「ラップできない子供は使い物にならないってことで、山に捨てる風習があったんだ」
衝撃の展開!
円城は、ラップできない家系と差別されたことに苦しみ、努力してラッパーになった男なのだ。
っていうふうに、恋するキャラは、濃い設定、ディープな過去をもつラッパーばかり。

恋だけじゃない。ラップによるバトル。謎の男。熱き友情。伝説のラッパー。忍び寄る韻法の恐怖。そして、ラッパー教育に力を入れているSayHo高校との大激突!

制作はYoshinaga Works。
物語は最長で一週間。
グラフィックは、背景に重なるシルエットのキャラクター(『かまいたちの夜』のパタン)。
選択肢は数個しかない。
あっという間に読み終わる軽快。
1ストーリー5分ぐらい。
8つのエンディングで、繰り返しプレイ。
繰り返し遊ぶうちに、世界観が深まり(近未来ラップ国家になっているのだ!)、伏線がからまり、気持ち高まる。

ただのゲラゲラ笑えるおもしろい話だと思っていたら、胸熱くグッとひきこまれていく! ど、どこに向かうのか、この物語はっ!

「人生って、ラップと似てるんだよ。努力とスキル。努力で補える、言ってしまえば苦しい部分と、才能がものをいう理不尽な大部分」

さあ、この傑作をプレイしようぜ、サンキューメーン!(米光一成)