まずは騎手の稼ぎのシステムを確認しておこう。

 騎手の収入は、その大半がレースの賞金と騎乗手当である。

 例えば、昨年の全国リーディングトップ浜中俊(24)の場合、収得賞金が21億4700万円であり、この5%が騎手の取り分(所得)となる。さらに騎乗手当としてG?12レース(75万6000円)、G?以外の重賞46レース(197万8000円)、その他のレース887回(2306万2000円)分、合計1億3349万6000円となる。

 昨年、年間最多のG?6勝をあげた岩田康誠(38)は、収得賞金額だけでも35億円超。年収は2億5000万円以上と言われる。栗東のトラックマンが話す。

「トップクラスだけでなく、若手の有望株も豪勢な日々を送っていますよ。年間30勝ぐらいのジョッキーなら、20代前半から軽く5000万〜6000万円を稼ぎますからね。ローカル開催の時なんて、ムチとブーツのみで乗り込み、洋服は現地の高級店で値札を見ずに調達。調教終了後、厩舎スタッフや取材記者を引き連れてのランチが高級寿司店や割烹でだったり。お品書きに時価と書かれていても、『いいカニが入ってるよ』なんて声をかけられれば、『じゃ、人数分お願いします』と堂々としたもんです」

 その下の中堅クラスのジョッキーになると、勝ち星よりもとにかく騎乗数が大切になってくるという。栗東トレセン関係者が話す。

「年間20 勝台で、リーディング50位ぐらいでも4000万円ぐらい稼げるし、キャバクラもおごってくれますね(笑)。ただ、昨年からローカル開催の日数が減り、気を引き締めていましたよ。2月の2週目からローカルの小倉開催がありますが、年明け早々から栗東入りしている美浦所属の騎手がいて、びっくりしましたね。そこまで営業をかけないと生き残れない状況になってきている」

 これはどういうことなのか。中央競馬の開催日数は年間288日間。昨年からローカル開催が1カ月(8日間)短縮となり、その分が中央開催になった。前出のレース部記者が解説する。

「簡単に言えば、売り上げが落ちているから。ローカル1日の売り上げが約30億円に対し、中央なら80億円。昨年の有馬記念が3日間開催の中日になったのもそのためです。この変更で泣いたのが、リーディング下位の特に騎乗機会が年間十数回ほどの騎手です」

 自殺した青木騎手も昨年の騎乗数はわずか7鞍。レース収入がとだえたジョッキーは、早朝の調教に乗って、その調教手当などの日銭を稼ぐのである。美浦担当のトラックマンが話す。

「通常、1頭で4000円ほどだそうです。中には月に5万円ほどで、複数の厩舎と契約していた元騎手もいたとか。彼らの稼ぎ時こそがローカル開催でした。複数の開催地に、馬に乗れない厩務員だけで乗り込むことがあるため、調教を担当できるスタッフが手薄になる。そこで下位の騎手に声がかかるんです。通常、8頭が限度といいますが、10 頭も抱える30代の騎手がいましたよ。必然的にローカルなら火曜日から日曜日まで6日間の契約になるし、週末のレース騎乗チャンスも生まれる。1カ月滞在で80万円から100万円ほど稼ぐこともある」