野波麻帆
人気作家・井上荒野の同名小説を原作に、主演阿部寛×行定勲監督の初タッグが実現した映画『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』(1月26日公開)。豪華女優陣が集結し、“艶”という1人の女に振り回されながら、美しい刺激に彩られた恋愛オムニバスを紡いでいく。

野波麻帆演じる橋本湊は、艶の最初の夫、太田(岸谷五朗)と関係を持つキャリアウーマン。今の恋で新しいものが見つかるかもしれないと考え、艶と自分を比較する「愛を確かめる女」だ。女性のたくましさと可愛らしさが同居した湊に「とても共感した」という野波麻帆に話を聞いた。

――まずは、本作の脚本を読んだ感想を教えてください。

野波麻帆(以下、野波):脚本を読んだ時は、様々な年代の女性を描くストーリーがそれぞれ独立しているのに上手にまとまっていて、日本映画には珍しい作品だと思いました。フランス映画でこういった作品を観たことあるかもって。そして、何より私が演じた湊という役は一番共感出来たキャラクターだったので、あ、この役だったらやりたいと思って。

――1番共感できた部分はどんな所ですか?

野波:脚本を読む限りだと湊は不倫もしていますし、すぐに男性とも寝てしまうし、とても奔放な女の子なんですけど、本心はちゃんと向き合える愛を探しているから、それなら共感出来るなと思って。渡辺いっけいさん演じる社長と、岸谷五朗さん演じる太田さんと同僚の男の子がいて、最後に太田さんの所に行くっていう湊の気持ちが素直だなぁと感じたんですね。

――私も、恋愛体質なのに、恋愛に振り回されていなくて、自分の意志を持っている所が素敵なキャラクターだと感じました。

野波:本当ですか? 良かった〜。ちょっと間違えると女性から共感を得づらいキャラクターだなと思ったので、人間らしく、チャーミングで、しっかりと生きている女の子という部分は心がけていました。不倫をしているけれど計算高い女性というわけでも無く、湊ってギャップがすごくある女の子だと思っていて、そういったギャップを上手に出せたらいいなと思いながら脚本を読んでいました。

――監督からは「こう演じて欲しい」というリクエストはありましたか?

野波:衣装合わせの時に監督と話したのは、基本的に男性を魅了してもらわないと困ると。それでいて、計算高い人物では無いので、自然に過ごしていながら男性を魅了しなくてはいけないと。それをお芝居で表現するのはとても難しいなと思ったのですが、現場に入って演じているうちに“湊像”がつかめてきたのは良かったです。

――湊が言う「今の恋愛で新しいものが見つかるかもしれないと期待するけど、結局は最初のセックスが1番楽しい」といった、ドキリとする様な女性の本音も印象的ですよね。

野波:そういった女性がなかなか言えない本音をポロリと言ってくれたりするので、面白い人物だなあと思いますね。あと、私が好きなのは、元妻・艶のお見舞いに出かけた太田さんから電話がかかってくるシーン。「久しぶりだね」って言われて、「そお?」ってつっぱねるんだけど、内心艶のことがすごく気になっているという女の子らしいところも良いですよね。

――本当は気になっているのに気持ちを隠すいじらしさというか。

野波:女性特有の嫉妬心もきちんと持っていて、そこも人間らしいなと感じました。

――それでいて、関係を持っている年上の男性が思わず甘えてしまう、お姉さんっぽい部分もあって。

野波:男性のどうしようもなさというか、可愛さというか、ダメな所を可愛いと思えるのは女性の特権ですよね。どんな女性でも男性を可愛いと思う懐の広さを持っていると思うし、私もそう思える女性でありたいなと思います。

――同僚の男性とお酒を飲むシーンがありますが、湊は女性っぽい部分と、男性っぽいサバけている部分が同居している所も魅力的ですよね。

野波:私も実際男性の友達が多くて、男性に男って言われるくらいの性格なので、そういう所も湊と似ているかもしれませんね。

次のページ:男性と絡むベッドシーンが多かった