財界が「再稼働加速化」を要求


 自民党の安倍晋三総裁は22日、山口県田布施町で原発の新規建設に関し「どう考えるかは新しい政府・与党で決めたい。民主党が決めた方針をもう一度見直していきたい」と記者団に述べました。

 安倍氏は21日にも、民主党政権が決めた「原発の新規建設を認めず、2030年代に原発の稼働をゼロにする」とする基本方針(「革新的エネルギー・環境戦略」)を見直し、新規の建設を認めることもあり得るという考えを明言していました。

 加えて安倍氏は22日、中国電力が建設を計画している上関原発(同県上関町)について「地元の(建設)凍結という意思を尊重しつつ、国全体としてどう考えていくか検討していきたい」と言及。上関原発の着工を検討していく姿勢を示しました。

 これら一連の発言は、「原発ゼロ」を求める国民世論への重大な挑戦です。政府が今年8月にまとめた原発に関するパブリックコメントでは、2030年の原発依存度について「ゼロ」が87%を占め、「今後原発が必要か」については「不要」が84%でした。

 自民党は総選挙公約で、「全ての原発について3年以内」に再稼働を判断し、10年以内に「電源構成のベストミックス」を確立するとするなど、原発推進の姿勢を示していました。しかし、同党は“圧勝”したものの、比例代表で有権者全体での得票率は15・99%にすぎず、その政策が国民的に信任されたとはとても言えません。しかも、原発新増設を認める考えは選挙後になって示してきたもので、信任以前の民意無視の独断でしかありません。

 自民党に強い圧力をかけているのが財界です。日本経団連は総選挙直後(18日)に「エネルギー政策の再構築を求める」とする提言を発表しました。民主党がまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」は「極めて問題が多い」とし、「『2030年代に原発稼働ゼロ』を目指した政策を強引に進めれば…企業の競争力を奪い、雇用の喪失をもたらすなど、経済、社会への打撃は避けられない」と抜本見直しを要求。国民の安全より経済的立場を優先する立場から「可能な限り再稼働プロセスの加速化が求められる」などとしています。

始まっている反撃

 新増設の容認は、全国50基の原発が止まっている状況に風穴をあけようとする財界要求に従うもので、旧自民党政権による「安全神話」を復活させることにほかなりません。民主党政権の「事故収束」宣言に続く、福島原発事故で被害にあった人たちへの裏切りです。

 自公政権復活にともなう原発容認の動きに対し、21日夜にも首相官邸前では原発推進に抗議するデモが行われ、「あきらめないぞ」という決意のコールが夜空に響きました。自民党の暴走と財界圧力を跳ね返す、国民的反撃は始まっています。

 (中祖寅一)