「踊る」のダース・ベイダー? 小栗旬

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 9月7日に公開された大ヒットシリーズ完結編『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で、織田裕二演じる所轄署の刑事・青島俊作の前に立ちはだかることになる警視庁管理官・鳥飼誠一を演じる小栗旬が、役に込めた思いを語った。

 「踊る大捜査線」シリーズではこれまでも柳葉敏郎演じる室井慎次を筆頭に、筧利夫演じる新城賢太郎、真矢みき演じる沖田仁美と、ことあるごとに青島と対立する管理官を登場させてきたが、小栗ふんする鳥飼は今までにないタイプ。「本広(克行)監督からは(THE MOVIE)3の時に『踊る』のダース・ベイダーになってほしいと言われていました。どうやったらダース・ベイダーらしくなるのかと思って、もこもこしていた方がいいんじゃないかと黒のダウンを着たりして(笑)。キャラクターとしては、前回はまだ調整役ということもあって業務的にフレンドリーにしている部分もあったんですけど、今回は一切、人のことを受け入れる姿勢もないぐらいな感じでやりました」と話す。

 「THE MOVIE 3」を「布石だった」と語る小栗。「鳥飼がもともと持っていた彼なりの正義感が、(THE MOVIE)3の事件で確信へと変わり、警察組織の中で何をすべきかに変わっていった。悪は排除してしまえばいいという考え方と同時に、上層部の保身などに対して怒りを覚えている。『踊る』では警察組織を舞台にしていますが、それは今ある現実の社会にも通ずること。そういうものに対して、役を通して叫べるというのは、役者としてやりがいがありました」と鳥飼というキャラクターに込めた思いを語った。

 その言葉通り、「THE FINAL」では、上層部に対して選択を迫ったり、青島に対して辞職勧告をしたりと、これまでの管理官にはなかった冷酷さまで見せる鳥飼。その行動は、「踊る大捜査線」の核とも言うべき青島と室井の正義と対峙(たいじ)する形で、圧倒的な存在感を放った。「今さらこんなことを言うのもなんですけど、良い出させ方をしてもらったなあと(笑)。鳥飼というキャラクターをすごく厚く、最後の最後まで描いてもらった。青島さんと室井さんの熱さをスッとかわしたりするのは、役者としてもすごく面白かった。鳥飼が悪役だとは思ってはいないんですけど、自分の存在が良い意味で、最後の最後まで悪役として映っていたらうれしいですね」と役に対しての自信を感じさせた。(取材・文:永野寿彦)

映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』は9月7日より全国公開