8月18日午前10時半ごろ、東京・池袋のラブホテルの一室から一戸良枝容疑者(49)は「人を殺してしまった」と通報した。池袋署員が駆けつけると、床には37歳の男性会社員が血を流して倒れていた。

取り調べによると、男性は良枝容疑者の会社の上司で昨年5月ごろから不倫関係にあったという。今年2月から別れ話を持ちかけられていたようで、凶器となった刃渡り20センチのナイフは彼女が持ち込んだものだった。

「良枝さんは子供が生まれてしばらくして、旦那さんと子供2人で実家に帰ってきて、ご両親と妹さんと一緒に暮らしていました」と近所の主婦は語る。しかしその後、良枝容疑者の元夫は蒸発。約10年前のことだった。

以来、実家で暮らしていた彼女。会社勤めをしていたこともあり、高校2年の女の子と中学3年の男の子の子育ては、両親に頼りきりだったようだ。

49歳での恋愛を”最後の恋”と思い、子供のことも忘れ、不倫にのめり込んでいたのだろうか。そんななかで、相手の男性を失いたくないという思いが、彼女に刃物を持たせたのかもしれない。

良枝容疑者と被害者がラブホテルに入ったのは、8月17日の夜11時ごろで、翌18日の午前1時ごろに男性の左下腹部をナイフで指している。110番通報したのは、午前10時ごろだった。つまり彼女は9時間もの間、彼と一緒の部屋にいたことになる。

犯行の理由について、良枝容疑者はこう語っているという。

「手を触ったら『気持ち悪い』と言われ、カッとなって刺しました……」