(写真)原発メーカーの日立GEニュークリア・エナジーが東電福島原発事故収束作業の前進拠点にかかげる、作業員に「再稼働ありき」をアピールするスローガン=福島県広野町

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 東電福島第1原発事故の収束作業で22日に下請け作業員が亡くなった問題は、東電の労働環境・安全対策と一刻を争う救命体制の不十分さを浮かびあがらせました。(山本眞直)

 死亡した作業員は、日立の子会社・日立GEニュークリア・エナジーの4次下請け会社の男性(57)。

■誰か残れば

 同じ日立系列の協力会社で働く熟練作業員が悔しさをにじませて、こう告発します。「体調を崩した作業員を1人残して作業現場に全員が戻ることはおかしい。班長か代理が必ず残って様子を見ることになっている。誰かが残っていれば助かったかもしれない」

 福島第1原発には重要免震棟、5・6号機には医師が常駐していますが厚生棟には不在です。

 東電が発表した時系列での経過によれば午前9時50分にトイレ休憩後に体調不良を訴えました。厚生棟休憩室で休んでいましたが、10時15分ごろに本人が「よくなった」と話したので、作業チームは「全員が作業に戻った」としています。

 別の作業チームの作業員が意識不明の男性を発見したのが10時35分ごろ。同44分に通報を受けて厚生棟係員らが心臓マッサージを施し、自動体外式除細動器(AED)を使用しながら5・6号機の医師に通報。かけつけた医師が作業員の心肺停止状態を確認したのが11時3分でした。

■別の救急車

 原発構内用の「急患車」がよばれましたが、構内にはいった急患車はそのまま市街地を走行できません。途中のガソリンスタンド(富岡町)で別の救急車に移り、いわき市立総合磐城共立病院に着いたのが午後0時41分、集中治療室(ICU)で治療が始まったのは0時58分でした。意識不明が発見されてから2時間以上が経過していました。11分後の1時9分に心筋梗塞による死亡が確認されました。

 東電福島第1原発事故の収束作業で、これまでに4人が心筋梗塞などで死亡しています。医療生協わたり病院(福島市)の斎藤紀医師は「原発作業員の健康問題は被ばく線量による放射線被害だけでなく、過酷な労働による健康被害から作業員をどう守るかという視点からの検証が常に求められる」と指摘します。

作業員の要求に東電は応えよ 

 原発作業員の被ばく問題など労働環境の改善に取り組む日本共産党の渡辺博之いわき市議の話 東電の作業員アンケートでも休憩室がせまい、ペットボトルの配備、熱中症対策を徹底してほしいなど劣悪な労働環境の改善を訴える声があがっている。作業員からは実際に「熱中症にかかっても元請けには言えない。作業終了後に自分の負担で病院にかかっている」などの声を聞く。東電はコスト削減ではなく、厚生棟への医師の常駐など作業員の命にかかわる要求に早急に応えるべきだ。原発作業員の安全確保抜きに事故の収束、廃炉にむけた取り組みはできない。