優勝した井上真弥(右)と長谷川徳海(左)。井上は3度、長谷川は4度の準優勝を経ての初優勝。「勝たなければいけないと思っていた」(長谷川)

 全国から47の都道府県代表を含む56チームが集まり、男子ビーチバレーボールの日本一を決めるビーチバレージャパンは19日、鵠沼海岸(神奈川県藤沢市)にて準決勝、決勝が行われた。

 決勝へ進出したのは昨年、一昨年と準優勝に甘んじた井上真弥・長谷川徳海組(ペボニア・ボタニカ)と、準決勝でロンドン五輪日本代表の朝日健太郎(フォーバル)・白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)組に競り勝った長谷川翔・仲矢靖央組(フリー)。ともに初優勝のかかった対決だったが井上・長谷川(徳)組が経験の差を見せ一蹴。長谷川(翔)・仲矢組をストレートで下し初の日本一に輝いた。

 8チームで争った女子は田中姿子(フリー)・溝江明香(産能大)組が、小野田恵子(KYUBA)・幅口絵里香(大樹測量設計)組に勝ち優勝した。

 「勝つ準備ができていなかった」準決勝で敗れ、02年から続いていた自身の大会連覇が「10」で途絶えた白鳥はそう言った。

 2週間前にはロンドン・ホースガーズパレードで世界中から訪れた15,000人の観客に囲まれオリンピックを戦った朝日・白鳥組。予選プール3戦3敗で終えたものの、アジアチャンピオンとして出場権を獲得し、世界の24チームに入ったこと、オリンピックの舞台で北京五輪のゴールドメダリストをはじめトップチームと戦ったことは大きな意義があったと思う。しかしその本領や経験を今大会で見せきることはなかった。

 その準決勝は長谷川(翔)・仲矢組がサイドアウトを確実に切り、ミスの少ないプレイで第1セットを取り、第2セットもシーソーゲーム。ようやく代表組もエンジンがかかってきたが、仲矢が勝負所でブロックを決め、離されずについていく。第2セットは21−18で朝日・白鳥組が取ったが、試合の主導権は掴めないまま第3セット。代表組は最後まで全開にならないまま試合を落とした。

 「気持ちの整理がつかない部分があった」と朝日が話し、五輪後はチーム練習にも多くの時間を割いていなかったという。4年間追った大きな目標であった大会が終わりモチベーションを保つのは難しい。「ロンドンで力を出し切った。前回(北京)とは違い2回目のオリンピックは意味が大きかった」(白鳥)と言うなら尚更だろう。36歳の朝日と35歳の白鳥には考える時間が必要なのかも知れない。

 だが、リオデジャネイロに向かい次の4年は始まり、国内のビーチバレーツアーも続いていく。優勝した井上は話す。彼も同じくロンドン五輪を目指していたが最終的に代表には選ばれず夢は叶わなかった。「モチベーション?こうやって多くのお客さんが見に来てくれるビーチバレーの面白さを伝えていきたい。僕等はプロなんで…」

 ロンドン五輪で3敗した直後、バッキンガム宮殿の隣に建てられた5階建ての高さの仮設スタンドの下で白鳥はこう話してくれた。「この3敗を無駄にしたくはない。まだ新しい経験ができ勉強になった。これを伝えていきたいと思う」

 伝えていく、渡していく方法は様々ある。伝える相手も若い選手だけでなくコーチや関係者など様々だろう。しかし、試合を見に来てくれるファンにもプレイという形で伝えて欲しいと願うのは私だけではないだろう。

結果は次の通り
□ 男子準決勝
井上/長谷川(徳) 2(22-24,21-15,15-10)1 畑/西村
長谷川(翔)/仲矢 2(21-19,18-21,17-15)1 朝日/白鳥
□ 男子決勝
井上/長谷川(徳) 2(21-14,21-16)0 長谷川(翔)/仲矢
□ 女子準決勝
小野田/幅口 2(21-19,18-21,15-12)1 浅尾/浦田(景)
田中/溝江 2(21-16,17-21,15-6) 尾崎/草野
□女子決勝
小野田/幅口 2(35-37,28-26,15-10)1 田中/溝江(取材・文=小崎仁久)