滋賀県大津市の市立中学2年の男子生徒がいじめを受けて自殺した問題に関連し、いじめの加害者とされる生徒の1人が担任の女性教諭に暴行し、けがをさせていたことがわかった。

教諭は手の指の骨を折ったという報道も出ているが、学校側は滋賀県警に被害届は出さなかった。いじめ事件の加害者に対する甘い対応に、反発の声が上がっている。

「蹴り上げた足に手が当たり、結果的に負傷」

大津市教育委員会によると、2012年5月、いじめ加害者とされる生徒が学校内で暴れることがあった。女性教諭が止めに入ったが、生徒が抵抗して足を蹴り上げた際に、制しようとした手に当たり、結果的にけがを負ってしまった、という。

各紙報道では「小指の骨を折る全治1か月のけが」とされているが、市教委は詳しい症状については回答を控える、とのことだった。

重傷にもかかわらず県警に被害届を出さなかった理由については、どの事件についても学校側で事案の経過などを踏まえて届けを出す、出さないを決めており、今回は出さないという判断になったということだ。

いじめ問題が明るみになってからもこの「事件」を公表しなかったのは、直接関係はなく、あえて言うことではないと判断したからだという。県には事件後に報告しているので、約3か月後の今になって明るみになったことについては特に問題視していないというような口ぶりだった。

市議会議員も「今朝の報道で知った」

生徒の暴行によって教員が骨折するというのは重大な校内暴力と思えるが、学校は被害届を出さなかった。学校や市教委は男子生徒が自殺した件でも加害者に対してあまり強く出ないような対応に終始していることもあり、インターネット上では「なぜ加害生徒が守られるのか」などと疑問の声が上がっている。

ある大津市議に話を聞いたところ、この暴力事件については8月10日の朝に報道で初めて知り、議会にも知らされていなかったという。10日17時現在、まだ市教委からの報告もないとのことで、「重大な事件なのになぜ」と憤っていた。

被害届が出されなかった理由については、この生徒に限らず、学校が被害届を出したら生徒が逮捕される、少年院に入れられるといった何らかの措置を受けるため、こうした状況をなるべく避けようしたのでは、と話していた。