二宮清純氏の『プロ野球の一流たち』は、読みだしたら止められなくなる面白い一冊だ。この本の古田敦也へのインタビューの中で、野村克也が「足が速いキャッチャーは大成しない」といっていたと書いてあった。

又書きで恐縮だが、野村によれば、「足が速い選手はおっちょこちょいな性格をもつものが多いので、思慮深さが要求されるキャッチャーというポジションには向かない」というのだ。極論にも思える。捕手の盗塁記録について調べて見たくなった。

NPBには1000試合以上捕手として出場した選手が42人いる。この選手たちの盗塁数を調べてみた。そしてそれを144試合に換算してランキングしてみた。

Catcher-SB


和田博実は、西鉄全盛時代の捕手だが、小柄で細身。俊足で知られていた。1967、68年には18盗塁している。
土井垣武、筒井敬三という戦前、1リーグ時代の捕手がこれに続く、昔は「捕手は走らない」という常識はなかったのだろう。この表にはないが、戦前の名捕手として知られた吉原正喜は、1940年には30盗塁している。

続いて伊東勤、城島健司など最近の捕手が並ぶが、何と9位には当の野村克也が入っている。野村は出場試合が多いとはいえ、捕手としては3番目の117盗塁。

意外なことに野村には盗塁のエピソードが結構ある。
野村は本塁盗塁を7回も決めている。しかも満塁で、自身が三塁にいて、3人の走者が同時に盗塁するトリプルスチールを2度決めている。鈍重そうな野村が走者にいると、投手は安心しきってしまう。その間隙をぬっての快挙だろう。「足が速い」必要はないにしても、常に塁をうかがう意欲は必要だということか。

以下、名だたる捕手が連なっているが、断トツで走らなかったのは巨人の村田真一。わずか2盗塁。足の問題というより、全く意欲がなかったということだろう。



MLBでは捕手として2427試合に出場したイヴァン・ロドリゲスが127盗塁。99年には25盗塁している。現役でもヤディヤ・モリ―ナが今季すでに11盗塁。俊足ぞろいではないにしても、捕手は走らないという固定観念はないようだ。

古田は、同期で入った捕手の飯田哲也が俊足なのを見て、「いずれコンバートされるだろう」と思ったという。案の定、飯田は内野手に転向させられた。要するに指揮官の好みのの問題なのだろう。

捕手は負担の大きいポジションだから、1番で打つ必要があるとは思わないが、チャンスがあればどんどん盗塁しても良いと思う。固定観念に凝り固まった野球は面白くない。

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