投手では山本昌は、マウンドの周りをうろうろし出したら、それは代えて欲しいと言うシグナル。監督やコーチがマウンドに行って「後、どうする?」と聞くと「お願いします」と。でもそれで勝利投手になると、新聞記者には「もう少し投げたかった…」。川上憲伸は負けている時には自分から降板の意思を絶対に示さなかったらしい。降板したら最後、敗戦投手になるか勝敗無しだから。逆に勝っていて終盤まで行くと「後は岩瀬さんでお願いします」…。もちろん落合は岩瀬についても触れ、例の2007年の日本シリーズ第五戦についても言及。まあこれは著書などで既に語られている通り。一番困ったのはまさか山井大介があんな素晴らしい投球をし、しかも投げ続けるとは思っていなかった点…。山井はちょっとでも不具合があると「今日はダメです」というタイプなのに、この試合に限ってはもう中盤からマメがつぶれており、ユニフォームに血がついている状態なのに投げ続けていた。落合は「山井は気から」と言っていた。

また今の選手は全般的に練習量が少ないと言い、自分が評論家として各球団のキャンプ地を訪れた時に「ここは練習やってるな」と思ったのは王貞治監督率いるホークスくらい。それは王監督自体が現役時代にパンツ一丁で日本刀持って畳がすり切れるくらいまで振り抜いたほどの練習の虫だったからだろうと。そしてその王監督が評論家時代に、当時現役だった落合の元を訪ねて、「頼むから練習嫌いだとか言わないでくれ。野球やっている子供たちや高校生が練習しなくても上手くなれると思う様になったらまずいだろう」と諭したという。落合自身は自分は練習をしているけど練習を好きだと思っているわけではないから練習嫌いを広言していたけど、さすがにそれ以降は(広言するのを)減らしたと。そしてドラゴンズの監督になってから、選手には「お前らヘタだからもっと練習しろ」と言い続けた。「『オレは練習嫌いでしなかったよ。でも嫌いで練習しなかったヤツが二十年間現役やれるか、45歳まで現役やれるか』と言うと大概の選手は練習する。」

後半にはDeNAという会社を球界参入まで知らなかったといい、DNAだと思っていたらしく、血液鑑定の話に飛んで二時間ドラマへの豊富な知識を披露した。でもがんばれよ、キヨシ。今の戦力じゃ勝てないのだからこれから先につなげる野球をやれよと、例えば昨日(15日)先発した国吉佑樹は、どうせオールスター休みに入るのだから7回、123球で降板するのなら完投させろ、この機会にしか出来ないだろうと。

また、一塁手が捕球が上手すぎると他の内野手が送球で楽をするので善し悪しだといい、じゃあ落合お前はショートバウンドを捕るのが人より上手かったのか、と言われるけどオレは上手かったんですよという自慢話も。それでもゴールデングラブ賞のパ・リーグ一塁手部門で、ライオンズが優勝したからか片平晋作さんが選ばれた時には本人におかしいと言ったと。一塁守備はオレか、柏原純一ですよ、と。敗戦処理。的にはすごく嬉しい名前を出してくれた。


そんなこんなで予定時間を30分以上もオーバーし、それに気付いた落合自身がまとめに入った。「監督を辞めさせられる時に、ファンサービスをしないと言われたが、高い金を払って球場に来ている人に満足して帰ってもらうことが最大のファンサービスだと思った。自分は中日の監督だったけど、巨人だったらオレンジのタオルを振り回しながら勝利の喜びを分かち合う。阪神ファンなら六甲おろしを歌いながら阪神電車で帰る。神宮だったら傘を上下に振りながら東京音頭を歌う。中日なら燃えろドラゴンズ、広島だって♪勝った勝った…てのがありますよね。ファンの人にあれをやってもらうのが最大のファンサービスなんですよ。あれ、横浜って何かありましたか?負けたらすぐにベンチの裏に引っ込んじゃうからわからないっていうのもあるんですが、ウチが勝てばそれを見ないですむというのもありますしね。まずそういうのが相手にまで浸透しないと!」


そして質疑応答は観客から2人に絞られた。最初の質問者が「野球の世界なら、どうしてもダメな選手は首にすればいいでしょうけど、それが出来ない公務員の世界はどうすればいいのですか?」ととんちんかんな質問をしていたが、もう一人は「今のプロ野球界で最も三冠王に近い選手は誰ですか?」と質問。落合は「いません!」と即答。ただしその後で、「面白いのはアイツ。日本ハムの、大阪桐蔭から入ったの…そう、中田」とファイターズの中田翔の名を挙げた。本塁打を打てないヤツはダメ。首位打者は極端にいえば誰にでも可能性はあるけど本塁打王を取れるのは限られている。「もちろんあのキカイダーみたいな打ち方のままじゃダメ…」との注文も忘れなかったが、名前をど忘れするくらいで、実は最新の中田をあまり見ていないそうだ。

この後、座席番号で抽選する抽選会。落合のサインした色紙が10枚、サインボールが10個、サイン入りバットが5本。司会を務めた文化放送の鈴木光裕アナウンサーの進行で落合が抽選し、当選者はステージ上で落合本人から贈呈された。最後のバットが敗戦処理。の隣の人に当たった。番号にして一番違い。惜しい、本当にこういうものには縁が無い。

最後に鈴木光裕アナウンサーから古巣ドラゴンズの事を聞かれると、「高木さんと権藤さんが喧嘩をしないか。二人とも素晴らしい野球人だけど、二人を一緒にやらせてはダメ。誰が組ませたの?」と言い、「高木さんの次が大変。山崎にやらせたいのと、立浪にやらせたいのとで真っ二つ。OBも真っ二つ。どっちがなってもしこりが残るかも…それを防ぐために昌もありかもね?」と意味深発言も…。

以上。

今日の結論、
・落合は来年、十二球団のどこかの監督をする意思は今のところない。
・でも予定が入っているのは来年の1月までということはWBCの監督はありかも。
・現役選手で三冠王に一番近いのは中田翔。


P.S.
この種の講演会はたいがい撮影、録画、録音禁止なのでメモを取りながら聞いていたから「」をつけた落合の発言も当然一字一句正確ではないことをご了承いただきたい。また、次回9月6日(木)の渋谷公会堂での講演会では内容を変えるとのことなので、いわゆるネタバレにはならないと判断してblogで掲載しました。