●CDや配信以外の音楽を聴くネット文化
さらにもうひとつ。CD、そして音楽配信以外でも音楽を聴く、という方法が生まれている為もあると思います。それは動画サイト。とはいえ動画サイトと書くと違法なアップロードのものを思い浮かべますが(そういうのも存在しますが)*1、ここで言うのは最近盛り上がっているDTMで自作した『初音ミク』などのボーカロイド曲や、自作の歌ってみた曲など。現在のとりわけ若年層には、これらの人気も高まっているようですが、こういうのも新しい音楽視聴形態に含まれるのではないかと。実際、iPhoneアプリでもボーカロイド曲を聴けるようにしてあるアプリとか、そもそもニコニコ動画アプリがありますし。あと、同人音楽の人がネットを使って配信をする例も出て来ましたね。

多分これらはネットやらボカロがなければ「インディース」に分類されていたと思うのですよ。つまるところボカロや同人音楽などはかつてのインディースであり、音楽を聴かれるシェアとしてそっちが大きくなっているという考え方も出来るのではないかと。

●音楽を「聴く」文化が死んでいないなら
このように、音楽の売上げが減っても、実は聴かれている時間は増えていると思うのです。さすがにこれは詳細なデータをとってみないと正確なことは言えませんが、皆が皆、音楽を聴かなくなったとは思えません。

じゃあ音楽が売れるようにするにはどうすりゃいいかという話ですが、それは前述の通り、あまりにもライバルが過去の音楽から新携帯の音楽まで広がってしまったのですごく難しいのはたしかでしょうね。でも、ここで安易に焼き畑農法的な握手券商法や種類違い複数買わせ商法に走ると、今後反動それらについて行けなくなった人が離れ、よけい音楽が売れなくなる可能性もあるのではないかと。

でも、上の様にたとえ昔のものやボカロなどビジネス的にはプラスにならないところだとしても音楽が聴かれるということは、まだビジネス的にも復活の目はあると思うのです。一番怖いのは、音楽を聴くというという習慣がなくなってしまうこと。実例を挙げると、テレビがそうなりつつあるような気もします。

例のダウンロード違法化が変な方向に作用して、(合法的な)音楽を聴く習慣自体を萎縮などでなくし、音楽ビジネスごと音楽自称を衰退させなければ良いなと思いつつ今日はこれまで。

■関連:「音楽業界に辞めてもらいたい、いくつかの売り方」2012年6月27日『絵文録ことのは』
http://www.kotono8.com/2012/06/27music.html

執筆: この記事は中杜カズサさんのブログ『空気を読まない中杜カズサ』からご寄稿いただきました。