中国のインターネットでは、「NARUTO -ナルト-」が人気だ。中国語では「火影忍者」、今後「ナルト」とする。まあ、日本のアニメ全般が大変な注目をされてはいるが、「ナルト」の人気の凄まじさは、完全に別格だ。何しろ、中国で8割前後のシェアを占める検索エンジン百度の検索数ランキングトップ10の常連なのだ。

 検索エンジンの検索数ランキングはあくまでも指標。それが高いからといってすぐに人気と結びつけるのは早計かもしれない。しかし、中国で毎日コンスタントに数十万回およびそれ以上、「ナルト」が検索されているというのは事実だ。

 日本のヤフーでは、皮肉にもグーグル傘下の動画サイト「YouTube」が検索数では不動の1位(ヤフー自身の発表によるランキング)だが、百度の検索数では中国最大手ショッピングモール「淘宝網」が不動の1位。どちらの検索エンジンも、いわば競合にトラフィックを誘導してしまっていると言えなくもない。そんな中、「火影忍者」、つまり「ナルト」は、百度の検索数において、多い時はこの「淘宝網」に迫る勢いを見せ、2位につけることもあるほどだ。

 およそ同じ時期から週刊少年ジャンプでの連載が始まり、テレビアニメも人気という共通点を持っている「ONE PIECE」(ワンピース)、中国語では「海賊王」、こちらももちろん中国でも人気だ。しかし、「ワンピース」は百度の検索数ランキングでは、15−25位程度、おおよそ30万回/日の検索回数だ。それ以下のアニメの検索回数は多くて10万台、いくつかの10万オーバーのほかはいずれも数万台となる。

 百度では100位までの検索数ランキングを公開しており、この中に入ること自体、大変なことだと言えるが、日本のアニメ、いや日本に絡むワードでこのトップ100に入っているのは「ナルト」と「ワンピース」、それと「蒼井そら」ぐらいなもので、「ワンピース」もいかに人気なのかうかがえるが、それでも、いや、だからこそ、あくまでも百度の検索数で、ではあるが、「ナルト」の中国における人気の凄まじさがわかるというものだ。

 比較するのも変な話だが、単行本の販売数や、アニメの視聴率から見ても、日本では全体的に、どちらかと言えば、「ワンピース」の方が人気が高いように思える。「ナルト」は忍者モノであるが故に、日本らしさがあって、海外では特に人気が出る傾向にあるようだというのは聞いたことはあるが、中国で「ナルト」が特に好まれるのは理由があるのだろうか。(編集担当:有田直矢)

※注:検索数は筆者が見たとき当時。本文執筆後、定点で観測していると、「ワンピース」もトップ10入することがあり、「ナルト」も20位以降に後退することもあり、「ナルト」の検索数も20万台/日に下降することもある。両者の最新話の放映時間と関係があるらしい。それでも両作品が人気であることには変わりなく、本文に事実と全く違った状況が反映されているとは考えられないため、修正を加えなかった。