木村文乃(撮影:野原誠治)

 『アヒルと鴨のコインロッカー』(2007年)や『ゴールデンスランバー』(2010年)など、これまでに宮城・仙台市を舞台にした作品を次々と発表してきた伊坂幸太郎(原作)と中村義洋(監督)。昨年3月11日に発生した東日本大震災を経て、5月に映画化の企画を立ち上げると、これまで共に映画を作ってきた仲間や仙台サポーターが再集結し、8月末からわずか8日間というタイトスケジュールで被災地・仙台にてオールロケを敢行。いよいよ5月12日から全国公開となる映画『ポテチ』は、仙台から日本全国へ、本編68分間に想いを込めて贈る、強くあたたかい家族の物語となっている。

 本作で濱田岳演じる主人公・今村の恋人・若葉を演じるのは、現在放送中の「NTTドコモ」CMで渡辺謙と布袋寅泰との共演も話題の若手女優・木村文乃。CMやドラマ、映画など出演作が相次ぐ彼女に、本作の舞台となった仙台と現地の人々の様子や、気になる彼女自身のキャラクター、プライベートでの人間関係など話を聞いた。

――原作の伊坂幸太郎さんと中村監督とのコラボレーションは本作で4度目となりますが、今まで伊坂さんと中村監督の作品は、何かご覧になったことはありましたか?

木村文乃(以降、木村):伊坂さんと中村監督とのタッグの作品を観ていました。中村監督は伊坂さんが伝えたいことを上手く映像にすることを大事にしてらっしゃるなと。それ以上に、映画を観た人が「面白い!」と思えるものに仕上げられる人というのは、温かい気持ちのある人なんだなと思いました。

――撮影は、被災地となった仙台で行われましたが、現地の様子や、エキストラで参加された地元の方々など、現場の雰囲気は如何でしたか?

木村:ちゃんと締める所は締めて、笑う所は笑ってという、メリハリの利いた撮影現場でした。限られた数のスタッフでの撮影だったので、本当にエキストラの方々にとても助けて頂いて。特に最後の野球場のシーンは、エキストラの方々がいてこそのシーンだと思います。寒い中、朝から晩まで座りっぱなしの撮影だったんですけど、地元の応援団の方々が手書きの「もう少しです!頑張ってくださいね!!」と書いた画用紙を持って、みんなに見せて歩いたり、お互いに気遣い合っていて。撮影の合間ごとにフォローし合っている姿が、何かを乗り越えた方々ならではだなと思いました。

――オフィシャルサイトでは「仙台ロケMAP」も紹介されていますが、特に印象に残っている場所はありますか?

木村:本当に撮影でいっぱいいっぱいだったので、仙台市内をあちこち見に行くことはできなかったんですけど、1日だけ午後に空いている時間ができたので、被災した女川や気仙沼の一帯に行きました。私は、震災前や震災直後に仙台に行っていた訳でもなくて、8月〜9月に行ったものですから、直後よりは瓦礫などが片づけられた状態だったのではないかと思います。それでも、行った人にしか分からない“何も無い”という感覚は、実際に行って見たからこそ感じられることがあると思います。これから先も、あの時に感じたことをずっと忘れずにいれる人間になりたいです。震災を乗り越えてきた皆さんと一緒に撮影をすることで、人と人との繋がりとか、『ポテチ』の内容にもあるように、それが不器用でも下手くそでも誰か一人のためを思ってする行動がこんなにも大事なんだということは、現地の皆さんや現場を見て気づけました。次のページ:私自身はどちらかというとサバサバしているタイプ