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 ゴールデンウィーク(GW)に公開される映画の中からオススメの作品を、編集部員が鑑賞シーン別にプレゼン合戦する特別企画「GOGW映画」。第2弾の「一人編」は、“一人でじっくり観たい”GW映画を紹介します。カルト映画のフジモトがプッシュするのは、『容疑者、ホアキン・フェニックス』です。映画は芸術ハラが推薦する『裏切りのサーカス』のようなサスペンスもいいですが、独りで観るならコレでしょう。名優ホアキン・フェニックスの一挙手一投足に注目!

『容疑者、ホアキン・フェニックス』(4月28日公開)

 故リバー・フェニックスの実弟であり、俳優であるホアキン・フェニックス。『グラディエーター』や『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でアカデミー賞にもノミネートされた非常に評価の高い俳優です。2008年末、順風満帆のはずの彼は突如俳優引退を宣言。その後ラッパーに転向すると表明しました。しかし、なんとそれは全部嘘だったのです。その事実を明かさぬまま、“ラッパー”ホアキン・フェニックスとして番組出演や、ライヴを行っていくのですが…。この作品は、ホアキンに密着し、この衝撃事件の表と裏を映し出していくフェイク・ドキュメンタリーです。

オススメのポイント1 ホアキンを心配してハラハラ

 作品の最後まで、ホアキンは俳優業引退と、ラッパーへの転向を装います。ただし、途中で周囲の人間は「やはりこれフェイクなんじゃない?」と疑いを持ち始めてしまっているので、周りを騙す“ドッキリ”としては破綻しています。この作品で一番の見所は、そういったフェイクの部分ではなく、ホアキン・フェニックスのあまりの変わりようにあります。多くの俳優仲間やスタッフ達は、戸惑いながら彼に接しいますが、あまりに飛躍したその行動に「こいつおかしくなったんじゃ…」と疑いはじめるのです。観ているこちらもそう思ってしまうほど、ホアキン・フェニックスの変貌は凄まじい。『グラディエーター』で見せた筋骨隆々の肉体からは程遠いだらしない身体、明らかに奇人に見えるもじゃもじゃ髭。そして人の良いイメージからは想像もつかないような禁止用語も連発します。
 
 もちろんミュージシャンとして曲も作りますが、プロデューサーには痛々しい批判を受け、トーク番組では辛らつな意見を浴びせられ、蔑まれて笑いものにされ…とにかく悲惨な目に遭いつづけます。やがて観ている方は、ホアキンのことが心配になり、「次はどんなどんな痛い目に遭うの?」とひたすらにハラハラし続けることになるのです。
 この作品の撮影から公開まで、彼は本当に他の作品には出演していません。つまり事実上の引退状態でした。こんなに無茶をして、大丈夫だったんでしょうか…。特に『ナイトミュージアム』などで有名なコメディ俳優、ベン・スティーラーに対して見せる彼の態度は必見です。ゴールデングローブ賞を受賞し、アカデミー賞にノミネートされた演技力がとんでもない方向に発揮される様は、本当に心臓に悪いです。

オススメのポイント2 ホアキンの人生に思いを馳せてモンモン

 実はこの作品のそこかしこには、ホアキン・フェニックスの人生そのものを追った、ドキュメンタリーのような部分が含まれているのです。例えば、この作品ではしきりに彼がコカインを吸引する場面が出てきます。有名な話ですが、かつて彼の兄・リバー・フェニックスは薬物の過剰摂取で死去し、弟であるホアキンもその場に居合わせました。その後、連日の兄の薬物死報道に嫌気がさした彼は、一時期“本当に”映画界を離れてしまいました。劇中でのコカイン吸引場面や、この引退芝居そのものが彼の人生そのもののパロディになっているようです。ネタバレになってしまうのであまり多くは語れませんが、この他にも彼の、非常に数奇な半生を映したかのような場面がいくつか出てきます。この作品を作り始めた時、彼は本当に俳優であることに疑問を持っていたのでは?以前映画界から遠ざかった時のように、嫌気が差していたのでは?観た後にもそういった疑問が、次から次に沸いてきます。ホアキンを知っていれば知っているほど、どこまでがホントでどこからがウソだったのかがわからなくなる奇妙な作品なのです。ただ一つ確かなのが、ウソであれホントであれ、この作品はどこを切ってもホアキン・フェニックスそのものを表現しているということ。

 鑑賞後に残るのは、ホアキン・フェニックスという俳優の強烈な存在感と、彼の人生に対する興味です。彼を良く知らない方は、この作品を見終わった後に、過去の出演作を観てみると、なお楽しいでしょう。単純にホアキン・フェニックスのドMっぷりを楽しんでもよし、独りで彼が何を考えていたのか妄想して楽しむもよし、の2粒で2度おいしいお得な作品なのです。

『容疑者、ホアキン・フェニックス』は4月28日よりシネマライズ他 全国順次ロードショー
『容疑者、ホアキン・フェニックス』作品情報

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カルト映画のフジモトの所見評価

【フェイク度】★★

【リアル度】★★★★

【ホアキン度】★★★★★

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