――音の密度?

【小久保】ケータイのスピーカーというのは、決して上等なオーディオシステムではないし、非常時には電力もできるだけ使いたくない。その制約の中で人間にとって大きな音に感じるように、耳に一番残る音域、3キロヘルツ周辺に音を集約させています。

――あの警報音を聞いてドキッとするのは、3・11後の体験による刷り込みなのかな、とも思っていましたが、やはり音自体に「ドキッ」とする効果があるんですね。

【小久保】聞いた瞬間に「!」マークを感じさせないといけないので。ただ、ドキッとした後、不安に陥るのではなく、落ち着いて次の行動へ移すキッカケにしてもらえたらというのが、作り手としての願いです。実は、最初にドコモさんに提案した音は、低音から高音への変化がもっと急激でした。ところが、ドコモの方たちの感想は「これはさすがに怖すぎる」と。それで少し変化を緩めたのが今の音です。こんなに頻繁に鳴るようになって、あのときに皆さんの意見を聞いてよかったなあと(笑)。ただ、これほど頻繁に鳴るのだったら、もう少し音の変化が小さくてもよかったかなあなんて思ったりもしていますが……。

――そこは小久保さんの責任じゃないんですけどもね。でも、「絶対に気づく音」となりました。

【小久保】地震は、起きるときには起きてしまうものです。だからこそ自分にとってベストの準備をしておくことが大切だと思います。あの警報音は皆さんを不安にさせるためではなく、脳のモードを「注意」に切り替えてもらうための音だということはわかっていただきたいです。もちろん、鳴らないことが一番なんですけどもね……。

(取材・文/佐口賢作、撮影/本田雄士)

■久保田隆(くぼた・たかし)
1956年生まれ、東京都出身。電気通信大学在学中の70年代後半より、日本でいち早くシンセサイザーを導入し、作曲・演奏活動をスタート。都市、オフィス、ミュージアムなどのパブリック空間の音環境デザイナーとして、また、プライベート空間に“癒やしの音楽”を提供するアーティストとして常に最前線で活躍中。株式会社スタジオ・イオン代表取締役。【関連記事】
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