■日本ハムの開幕投手は入団2年目の斎藤佑樹に決まったと、栗山英樹監督が昨日発表した。その報を受けネット上では「またのらりくらりと6回被安打10で3失点か」「野手の気持ちも考えて発言しろよ」(Sports Watch)などの批判が渦巻いているそうだ。

いま野球界は「契約金超過問題」を巡り、朝日新聞と巨人軍の戦いが勃発。今後の推移次第ではNPBの存続が危ういかも?そんな状況下、斎藤が開幕投手に指名された。

「斎藤佑樹、開幕投手」「(斎藤へ)周囲の批判」そして「裏金問題」、いま旬な話題を整理していて、たしか、あの時も同じだったことを思い出した。


■2007年4月14日、東京六大学・春季リーグ戦が開幕した。開幕カードは早稲田大vs東京大。早稲田の先発はゴールデンルーキーの斎藤だった。

東大  000 000 000 =0
早大  203 030 00X =8
(早)○斎藤-松下-須田

斎藤は6回を投げ、被安打1、奪三振8の好成績を残してマウンドを降りた。試合後、 「2点以内に抑えることだけ考えていました。これで大学でもやっていける自信になりました」
とコメントを残している。

斎藤が勝利投手になって事なきを得たが、試合前、斎藤を先発に指名した應武篤良監督(当時)の心中は複雑だった。自著『早稲田野球の魂』(PHP刊)に「もしこれで失敗すれば、大変な批判を浴びることになる。選手には不満や嫉妬の感情を抱き、私への不信感を強める者も出るだろう。自分で下しておいて重い決断と思った。自らも緊張しながら、斎藤をマウンドに送った」と述懐していた。

事実、先発は斎藤と聞いて、不満をもった選手たちが多くいた(以下も同書より引用)。
「なぜだ、と思いました。須田の方が調子よかったですし」「マスコミ向けだと思いました。監督はふだん実力主義を掲げながら、言うこととやることが違うと思いました」など。

須田とは、須田幸太(当時3年、現・横浜)のこと。この早稲田のエースナンバー「11」を背負う右腕こそ、開幕投手に相応しいとボクも思っていた。應武さんの判断はマスコミへの迎合そのものだと思ったし、多くのファンも同じ感想を持っていたと思う。

そしてこの当時の野球界も、今と同じ「裏金問題」に揺れていた。西武が東京ガスにいた木村雄太や早稲田大の選手に栄養費を渡していたことを発表したことで事件が発覚。結果、木村は謹慎、東京ガスは対外試合禁止に。また早稲田の選手は退部になり、その選手の出身校(専大北上高)までが、野球部を一時解散する事態に発展した。


■「斎藤佑樹、開幕投手」「(斎藤へ)周囲の批判」そして「裏金問題」。

斎藤を指名した栗山監督の心中はいかに? あの時の應武監督と同じだろうか。また斎藤は開幕戦でどんなピッチングをするのか? 「持っている」発言以来、幾度となくやってくる試練、今回も「持っている男」ぶりを証明できるか。チームメイトたちの反応も気になる。

そして「裏金問題」。当時もNPBは自浄能力がなかった。それどころか根来泰周コミッショナー代行(当時)は、急きょ改めたドラフト制度(=希望枠撤廃)を、「ただ俗論に従っただけ」(日刊ゲンダイ)と言って開き直っていたっけ。

翻って今、あの時と同じく、NPBは「裏金問題」を主体的に解決する動きは見られない。加藤良三コミッショナーもダンマリを決め込んでいる模様。事態が動くも動かぬも朝日次第の様相だ。

あれから5年経った。大学1年生だった斎藤はすでにプロのマウンドに立っているのに、NPBだけは相も変わらず、である。