中国人民解放軍の「海外展開」が必要=中国海軍少将
中国の軍事紙・解放軍報が「国家利益が拡大するところまで新しい作戦を広げる必要がある」と報じたことについて、北京で全国両会(全国人民代表大会と全国政協会議)に出席した全国政協委員の尹卓海軍少将は、「新しい情勢下にあって中国軍は確かに海外展開する必要があるが、中国国防の防衛作戦が変わるわけではない」と指摘した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。
尹氏によれば、現在、中国の軍事力は海上や海外における利益の拡大よりはるかに遅れている。これは、中国の国外での合法権益がしっかり守られないことを意味しているという。「中国の海上輸送は毎年90%を占め、2億トン以上輸入される原油のうち大多数は海上輸送によるものだ。また、多くの海外投資もある」と尹氏は語り、日々拡大する海上と海外の合法的な利益を保護するために中国軍は「海外展開」を行い、テロリストや海賊など非伝統的な脅威に対応する力を高めなければならない述べた。
中国軍の「海外展開」は、国連憲章と現行の国際準則を順守すること、ほかの国の主権と法律を尊重すること、「遠海防御」戦略の実施、「海外進出」は攻撃的な行為ではない、という3つの原則を守る必要がある。
国際外交や軍事交流などさまざまな場面で、中国政府は平和的発展の理念と積極的な防衛戦略を実施すると強調しているが、少なくない西側関係者はこれを「韜光養晦」(自国の実力を隠し、力を蓄えて好機を待つ)と解釈している。「中国の政治制度によってイデオロギーの対外輸出はなく、平和宣言は外部が理解しているような『韜光養晦』では決してなく、戦略的国策である」と尹氏は指摘。
中国が将来海外に軍を駐留するかについて、エジプトやスーダンなどの国で最近中国人拉致事件が頻繁に発生しているが、一般的に軍隊を派遣してこうした問題を解決することはなく、企業は警備会社を雇って商業行為で商業利益を守る試みをしているという。
中国は国連の枠組みの下、PKO(国連平和維持活動)部隊を派遣するが、「在外駐留軍は国連規定に一致すると同時に、所在地国の許可を受け、現地の法律を順守しなければならない」と尹氏は指摘した。(編集担当:米原裕子)