それからの三国志

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 政局が混迷し、閉塞感漂う現在の日本を見つめたとき、誰もがたどり着く共通の答えに「リーダー不在」が挙げられるだろう。 松下幸之助、本田宗一郎、吉田茂、かつて混迷の時代には必ず、強烈な個性で組織を引っ張るリーダーたちがいたが、現在の日本で、彼らに匹敵する「個性」を上げることは難しい。 そんな現代と劉備、曹操、孫権など、時代のカリスマがすべて世を去った、孔明没後の三国時代は似ていなくない。混乱の時代に、大義を掲げ、私利を捨てて戦った武将には、今のビジネスマン、リーダーたちが学ぶべき教訓が多いだろう。文芸社より文庫で発売されている「それからの三国志」は、三国志の英雄・劉備玄徳、諸葛孔明亡き後の蜀を支えた武将・姜維が主人公。愚かな君主のもとで、国に忠誠を誓う精鋭たちが滅びていく。その理不尽さと、それでもなお国のために、自らの誇りのために戦う武将たちの生き方は、読む者の胸を熱くする。