バーレーン102位、シリア115位、マレーシア155位。

僕は不確定要素が多いFIFAランキングを材料に、何かを語るのは避けようと思っている。日本ランキングは19位だが、それを額面通り受け止めるのは危険だし、実際、30位ぐらいなんじゃないかと怪しんでいるが、それでも、日本のU22と上記の3か国との間には決定的な開きがあると確信する。抽選結果を見た瞬間、正直これはもらったと思った。普段、悲観的な予想に走りがちな僕でさえ、笑うが出そうなくらい安堵した。本当にフェアな抽選だったのかと勘ぐりたくなったほどだが、それもいまや昔。すっかり懐かしい話になっている。五輪チームは、これまでの戦いで一切と言っていいほど格上感を出せずにいる。

日本が急に弱くなったのか。相手が急に強くなったのか。宮市を招集できないからか。清武、原口がA代表に招集されたからか。山村が怪我をしたからか。はたまた「勝負の世界は何が起こるか分からない」からだろうか。

日本が、思いきり手を抜いて戦っているのなら分かる。この予選を文字通りテストマッチと位置づけ、メンバーや戦術及び新布陣を試しているのなら納得できる。五輪チームの本来の趣旨に基づき、結果を度外視し、若手の底上げを図るような戦いをしているのなら全く問題はない。強者ならではの余裕を前面に押し出しながら、苦戦覚悟で強化に励んでのならオッケーだ。

実際、抽選結果を見たとき、逆にそれぐらいのことをしなければ、時間の無駄だと思った。それができる環境が用意されたものと思った。格上感を予選を通してどれほどいい感じで出せるか。関塚監督に問われているそれこそが最大のポイントだと思った。

5―0ぐらいで勝てるだろうと思ったマレーシアに、ホームで2―0に終わると、協会の首脳は、同じ時期にベトナムにホームで1―0で辛勝したことと重ね合わせるようにこう述べた。「最近はアジアの勢力図も少し変わってきていて、ベトナムとか、マレーシアが強くなってきている」と、相手の力が上昇していることを言い訳の材料に挙げた。

続くアウェーのバーレーン戦も苦戦だった。スコアこそ2―0だったが、日本が自ら掴んだ決定的なシーンはごく僅か。結果と内容が一致していたわけではない。苦戦の原因が、日本みずからに潜んでいることが、明確になった試合でもある。

そしてホームにシリアを迎えたわけだが、スタメンは山本と山口が入れ替わっただけ。布陣も4―2―3―1で変わらず。バーレーン戦の結果に満足したのか、内容について見直しが図られている様子は伝わってこなかった。もちろん、多くの選手を試し、底上げを図ろうとするU22本来の目的も見えてこなかった。

つまり余裕は一切見られなかった。強者の振る舞いができずにいる。小さく固まり、絶対に負けられない戦いの渦中に引きずり込まれていた。

試合はご存じの通り、前半終了間際に先制点をマークしたものの、後半になるとシリアにぐいぐい押し込まれる苦しい展開。マレーシア戦、バーレーン戦と同じ流れになった。それ以上に撃ち合いを挑まれてしまったわけだが、にもかかわらず、日本ベンチはその状況を、手をこまねいたまま傍観した。挙げ句、後半30分に、同点ゴールを叩き込まれてしまう。

最初のメンバーチェンジが行われたのはその直後。まるで良いサッカーができていないのに、そこまで手を打たなかった。つまり、若手の底上げもできなければ、試合内容の改善もできなかった。世界ランク115位のシリア相手に、19位の日本は格上感を出せなかった。

メンバーチェンジの話をすれば、2人目の交替は後半36分。3人目の交替は試合終了のホイッスルが鳴る7、8秒前だった。その間、決勝ゴールが決まり日本は2―1で辛勝したわけだが、その瞬間、僕には日本がとてもサッカーの弱い国に見えた。