岡田将生を演出する 『アントキノイノチ』の瀬々敬久監督

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岡田将生と榮倉奈々を主演に迎え、さだまさしの同名小説を映画化した『アントキノイノチ』(11月19日公開)。本作でメガホンを取った瀬々敬久監督にインタビュー。遺品整理業という特殊な職業を描く本作で、岡田と榮倉は揺れ動く心のひだを激しくも繊細に表現した。瀬々監督は彼らからどんなふうに熱演を引き出したのか、そのヒントをつかむべく、撮影秘話を聞いた。

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高校時代に友人を殺したと自分を追い詰め、心を閉ざした永島杏平(岡田将生)と、暗い過去を持つ久保田ゆき(榮倉奈々)が、遺品整理業という仕事を通して成長していく『アントキノイノチ』。瀬々監督が原作に惹かれた理由は、「その頃、問題視されていた無縁社会や孤独死を、若いふたりの視点から描いていた点」だったという。

クランクインは3月1日、岡田扮する杏平が、松坂桃李扮する意地悪なクラスメイト・松井に殺意を向ける、山場のシーンからの撮影となった。「ある意味、杏平と松井の話としては極点の部分。いきなりそこから入るのは厳しいから、その前に高校生を演じるグループを全員呼んで、リハーサルをやりました。そこで全員に『松井だけが邪悪なのではなく、君たち自身もみんなが人間としてのコミュニケーションの下手さや暗い部分を持っていて、それを打ち消すように生活している』と説明しました」。

松坂にとっては初の悪役だったが、監督の前準備が功を奏したようだ。また、岡田からある提案があったという。「あのシーンの最後は桃李くんの顔のアップでしたが、涙が流れても良いから気分を高めてやってほしいと言ったんです。そしたら、岡田くんが『このシーンを頭から行きましょうよ』と言ってくれて。岡田くんはカメラアングルからいくと映らないけど、彼が相手をすることで、桃李くんの感情が高まるだろうと。岡田くんと桃李くんとの友情ですね。それで、桃李くんの目からは自然に涙が流れたわけです」。

岡田も現場で感極まって、予想外の涙を流したシーンがある。それは杏平が、榮倉扮するゆきと向き合うラブホテルでのシーンだ。「あの一連のシーンは映画の肝だと思っていたので、アングル主体ではなく、ふたりの気持ちが入りやすい立ち位置を探る感じで撮っていきました。大事なのはふたりの心の動きだったので」。その甲斐あって、岡田と榮倉は、互いに感情を吐露できたわけだ。ちなみに岡田と榮倉は、役作りのために実際に遺品整理業の仕事を体験した。瀬々監督は「体感として、実際やってもらったことが大きかった」というが、確かに納得。

また、瀬々監督は、撮影中に東日本大震災が起こったことで、本作に対する姿勢も変わったという。「震災が起こった3月11日は、杏平が初めて遺品整理の仕事をする日を撮っていました。震災以前は無縁社会とか孤独死の問題を問いかける形で映画を作っていたけど、震災の後は、ニュースで遺品を拾い集めている方々の映像を実際に見るようになって。そんな中で撮影をして、人間はやっぱり人と人との絆を大事にしたいんだということを再確認したんです」。

監督は、本作のテーマをこう説く。「この話は、いわば『自分は生き残ってしまった』という思いをずっと抱えて生きてきたふたりの話なんです。そのふたりが出会って、遺品整理業という仕事を通して再生していく。彼らが、次の新しい生へ向かう姿が描ければ良いなと思いました」。そう、本作を見れば、命をつないでいくことの尊さが、力強く心に響いてくる。命とは、希望そのものだと改めて実感する。【取材・文/山崎伸子】

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