補助金と給与カット、カジノ誘致、伊丹空港廃止、教育改革、府庁舎移転、都構想、そして突然の辞任

――ありとあらゆることを次々と言いだして人気を保ってきた、大阪の「独裁男」橋下徹前大阪府知事。失政を繰り返し、ニセの財政再建で府民を欺く“ペテン師”の3年9カ月を、識者が厳しく糾弾した。

「破綻寸前だった大阪の財政を立て直した。その実績は評価できます。高すぎた府職員の給与を引き下げるなど、他の自治体ではなかなかできないこともやった。ただ、その他のありとあらゆる府民サービスもセットで叩き斬ったんですね」

 任期を3カ月残して10月31日に府知事を辞任し、大阪市長選へ鞍替え出馬する橋下徹氏(42)をこう評するのは、経済評論家の森永卓郎氏だ。

 橋下氏は08年2月に府知事に就任すると、「皆さんは破産会社の従業員だ」と府職員をどやしつけ、大赤字財政に手をつけるべく、財政非常事態宣言を出した。それが退任時には「皆さま方は優良企業の従業員であります」「僕以外の知事ではできなかった」などと、黒字決算に転化させた手腕を強調、自画自賛してみせたのだった。

 ところが、その財政再建にはカラクリがあるのだという。橋下府政の暗部を知るノンフィクションライター・森功氏は言う。

「単年度で見ると黒字になっていますが、これは借金をして黒字に見せかけただけ。実際は赤字ですよ」

 いったいどういうことなのか。森氏が続ける。

「要するに、財源不足により、国からの地方交付税が十分でないため、その穴埋めに臨時財政対策債という地方債を発行して借金をしただけです。年間3000億円ぐらいずつ、合計1兆円は突破しています」

 つまりは、借りた金を収入だとして、黒字転化を成し遂げたというわけなのだ。臨時財政対策債による借金は、将来の地方交付税で補てんする仕組みになっているため、橋下氏は国の責任だと主張している。

 まるでペテンのような言い分に、府政をチェックし提言を行っている大阪自治体問題研究所の木村雅英主任研究員も、次のように反駁するのだ。

「これで橋下さんが財政を立て直したと胸を張るのは、本当に財政を知っている人からすれば、とんでもない話です。橋下さんはいろんな都合のいい数字を持ってきてアピールする力にはたけている。しかし、まやかしだらけ、政治を道具に使った言葉の魔術師です。真面目に府民の暮らしをよくしたいというふうには見えませんでした」

 前出・森氏も断じる。「橋下氏がやったことは結局、コストカットであって、収入を増やしていません。企業で言えば収益を生む構造になっていないのです。税収をもたらす政策を立てるべきで、カットだけでは企業は成り立ちません。それをもって再建というのはおこがましいですよ」