はじめに

 先日,「統一球はプロ野球をどう変えたのか? ‐先発投手の投球内容と勝敗の関係‐」という分析をしました。統一球の影響というよりも2011年のデータをまとめて,過去5年分のデータと比較しただけなのですが,こういう外堀を埋めていくような作業を重ねつつ,統一球の真実に近づいていければと思います。

 今回は,2011年の得点傾向を調べてみたいと思います。1試合あたりどのくらいの得点が入ったのか,得点に対する勝敗はどのような関係になっているのか,ということを検証していきます。

 データは,2006年〜2011年のものを「プロ野球ヌルデータ置き場」様より参照しています。

得点分布

2006〜2011年

 2006年から2011年までのNPB12球団のリーグ戦5166試合,10332チーム分のデータより,各試合で何得点したかを整理してみました。データを表1に示します。

表1

 得点が0点で,全チームの欄に806とありますが,これは0得点だったチームが806あることを示します。一緒にリーグ別のデータも示しています。このデータをグラフ化したものを図1に示します。
図1

 2得点をピークに1〜4得点のチームが多いことがわかります。リーグ間の差は大きくないようなので以降は全チームのデータで見て行きたいと思います。

年度ごとの得点分布

 次に,2006年から2011年までのデータを年度ごとに見て行きたいと思います。表2にデータを示します。

表2

 このデータをグラフ化したものを図2に示します。

図2

 データを見ると,0〜2得点の割合が2011年では大きく増加していることがわかります。そして,3〜4得点の割合は例年並みといったところで,5得点以上の割合が減少しています。

 大量得点のチームが減少し,その分0〜2得点の試合だったチームが増加したという傾向が,全て統一球の影響によるものとはいえないかもしれませんが,とりえあえずこの得点傾向が2011年の特徴と見てよいと思います。

得点と勝敗の関係

2006〜2011年

 続いて,得点と勝敗の関係を分析します。2006年から2011年までのNPB12球団のリーグ戦5166試合,10332チーム分のデータより,各試合での得点と勝敗の関係を表3に示します。

表3

 このデータから勝率と引き分け率を求めたものを表4に示します。一応,リーグ別のデータも付けておきます。

表4

 表4をグラフ化したものを図3に示します。

図3

 当たり前ではありますが,得点が高くなるほど勝率は高くなります。それに対して,引き分け率は得点が変化してもあまり変化はありません。また,リーグ間による勝率の差もほとんどありませんでした。

年度ごとの得点と勝敗の関係

 では,次に,得点と勝敗の関係を年度ごとに見て行きたいと思います。データを表5に示します。

表5

 このデータをグラフ化したものを図4に示します。

図4

 データを見るに,2011年の特徴としては,2得点した時の勝率が過去5年のデータと比較して高くなっています。

 これは,大量得点の試合が減ったことが原因と考えられます。しかし,勝率が高くなったとはいえ50%を下回っているわけですから,2得点では勝つよりは負ける確率の方が高いことは注意しておかなくてはなりません。

まとめ

 2011年の得点傾向を過去5年のデータと比較しましたが,5点以上の大量得点の試合が減少し,2得点以下の試合が増えていることがわかりました。

 しかし,2得点以下の試合が増えたからといって,少ない得点で勝てるようになったわけではなく,2得点以下では勝率は50%以下となっています。2011年は2得点以下の試合だったチームが全体の約45%を占めていたわけですから,全体的に苦しい展開の試合が多かったことがわかります。

 この傾向によって,緊迫した試合が増えて面白いと感じる方がいるかもしれませんし,胃が痛くなったファンの方もいるかも知れません。逆に,空中戦が減ったと感じた方には魅力が少ないシーズンとなったかもしれません。

 これは好みの問題でもありますが,表裏一体の長所と短所のようなものだと思います。ならば長所をもっと強調してプロ野球の魅力として伝えればよいと思うのですが,そういう売り出し方をNPBはしていないような気がします。



おわりに

 以上,得点傾向の分析でした。得点の減少は既に各方面で指摘されていることではありましたが,もう少し詳しく見ることができたのではないでしょうか。

 次回は,得失点の観点から同じように分析して行きたいと考えています。

 では,今回はこの辺りで失礼します。

データ引用&参考サイト

 ・プロ野球ヌルデータ置き場

 いつもお世話になっています。