【杉山茂樹コラム】結果至上主義の弊害
日ハムに1位で指名された東海大の菅野投手。蹴るのか蹴らないのか、世の中をやきもきさせているが、この手の話はサッカーには存在しない話だ。ドラフトがないのだから、当たり前と言えば当たり前だが、サッカー界では22歳でプロ入りしようとしない選手は珍しい。野球選手の寿命は、サッカー選手に比べていくらか長い。野球選手の22歳は、サッカー選手的には20歳位だろう。
とはいえ世界のサッカー界では、20歳でプロになっていない選手は稀。20歳でプロ入りしていなければ、プロとしての将来はない。そう言いきっていい。日本のサッカー界も、ある時まではそうだった。Jリーグ誕生から数年間は、大学に進学することは、ほぼプロ入りを諦めることを意味していた。
ところが、Jリーグも年々、プロ野球に似てきている。大卒プレイヤーはけっして珍しくない。日本代表選手では長友が典型的な存在になるが、常識は変わりつつある。良くも悪くも、彼の存在が大学志向に拍車をかけている様子だ。
日本のサッカー界はすなわち、非世界的な方向に進んでいる。
日本の景気とそれは関係深い。不安定なご時世にあって、とりあえず大学ぐらいは出ておきましょう的な、手堅い安定志向が蔓延するのは当然だ。Jリーグに高卒で入るには、勇気と冒険心が不可欠になる。
とはいえ、高卒の選手が減る理由が、それだけにあるとは思わない。
東海大の菅野投手が、日ハムの指名を蹴った場合、どうするのか定かではないが、一般的には社会人でプレイすることになる。社会人を経てプロを目指そうとする。したがって、プロ入りが25歳ぐらいになる選手もいる。
これまた、サッカーではあり得ない話だ。というか、野球界でいうところの社会人が、そもそもサッカー界には存在しない。
強いて言えばJFLがこれに当たるが、JFLでプレイする選手がその後、一流選手として活躍した例ケースは稀だ。J2がいいところだ。JFLでプレイするサッカー選手より、社会人でプレイするプロ野球選手の方が、将来性はあるという話になる。
J2ではどうだろうか。そこに入団する選手と、大学リーグでプレイしようとする選手とでは、どちらに将来性を抱くことができるか。サッカー界にドラフトがあれば、J2のクラブに指名された高校生のどれほどが、それを蹴って大学に行くだろうか。
半々ぐらいではないかと僕は思う。高校卒の選手がJ2を経て、J1で大活躍する姿、日本代表として活躍する姿、つまり、活躍の舞台を確実にステップアップさせていく姿を想像することは難しい。外国との決定的な違いでもある。ハーフナ—のような選手がたくさんいるわけではない。
大卒選手が即戦力として活躍する例を数多く見せられると、Jリーグの育成機能に難ありと思わざるを得なくなる。
なにより希薄なのは、選手を育てて売る発想だ。各クラブが拘っているのはまず成績。ほぼすべてのクラブが上の順位を目指している。外国のクラブももちろん、試合をする以上、結果を求めているのだけれど、同時に自らのサイズを知っている。それに相応しいポジション、順位を弁えている。1部リーグでプレイすることを積極的に望んでいないクラブもある。
チャンピオンズリーグに出場している32チームについてもそれは当てはまる。欧州No.1を本気で狙っているクラブはごく僅か。せいぜい8つだ。その他のクラブは、自らのサイズを心得ながらプレイしている。必要以上に巨費を投じ、無理に優勝を狙おうというムードにはない。
目に見えない上下関係というヤツが、しっかり出来上がっているのだ。中には割り切って、せっせと選手を育て、積極的に売ろうとするクラブもある。成績より育成に力を入れているクラブがある。オランダのクラブはその典型。そのトップでさえ成績より育成を売りにしている。アヤックス出身、PSV出身の選手には、キチンとした環境で育てられたという意味でのブランド力がある。
とはいえ世界のサッカー界では、20歳でプロになっていない選手は稀。20歳でプロ入りしていなければ、プロとしての将来はない。そう言いきっていい。日本のサッカー界も、ある時まではそうだった。Jリーグ誕生から数年間は、大学に進学することは、ほぼプロ入りを諦めることを意味していた。
日本のサッカー界はすなわち、非世界的な方向に進んでいる。
日本の景気とそれは関係深い。不安定なご時世にあって、とりあえず大学ぐらいは出ておきましょう的な、手堅い安定志向が蔓延するのは当然だ。Jリーグに高卒で入るには、勇気と冒険心が不可欠になる。
とはいえ、高卒の選手が減る理由が、それだけにあるとは思わない。
東海大の菅野投手が、日ハムの指名を蹴った場合、どうするのか定かではないが、一般的には社会人でプレイすることになる。社会人を経てプロを目指そうとする。したがって、プロ入りが25歳ぐらいになる選手もいる。
これまた、サッカーではあり得ない話だ。というか、野球界でいうところの社会人が、そもそもサッカー界には存在しない。
強いて言えばJFLがこれに当たるが、JFLでプレイする選手がその後、一流選手として活躍した例ケースは稀だ。J2がいいところだ。JFLでプレイするサッカー選手より、社会人でプレイするプロ野球選手の方が、将来性はあるという話になる。
J2ではどうだろうか。そこに入団する選手と、大学リーグでプレイしようとする選手とでは、どちらに将来性を抱くことができるか。サッカー界にドラフトがあれば、J2のクラブに指名された高校生のどれほどが、それを蹴って大学に行くだろうか。
半々ぐらいではないかと僕は思う。高校卒の選手がJ2を経て、J1で大活躍する姿、日本代表として活躍する姿、つまり、活躍の舞台を確実にステップアップさせていく姿を想像することは難しい。外国との決定的な違いでもある。ハーフナ—のような選手がたくさんいるわけではない。
大卒選手が即戦力として活躍する例を数多く見せられると、Jリーグの育成機能に難ありと思わざるを得なくなる。
なにより希薄なのは、選手を育てて売る発想だ。各クラブが拘っているのはまず成績。ほぼすべてのクラブが上の順位を目指している。外国のクラブももちろん、試合をする以上、結果を求めているのだけれど、同時に自らのサイズを知っている。それに相応しいポジション、順位を弁えている。1部リーグでプレイすることを積極的に望んでいないクラブもある。
チャンピオンズリーグに出場している32チームについてもそれは当てはまる。欧州No.1を本気で狙っているクラブはごく僅か。せいぜい8つだ。その他のクラブは、自らのサイズを心得ながらプレイしている。必要以上に巨費を投じ、無理に優勝を狙おうというムードにはない。
目に見えない上下関係というヤツが、しっかり出来上がっているのだ。中には割り切って、せっせと選手を育て、積極的に売ろうとするクラブもある。成績より育成に力を入れているクラブがある。オランダのクラブはその典型。そのトップでさえ成績より育成を売りにしている。アヤックス出身、PSV出身の選手には、キチンとした環境で育てられたという意味でのブランド力がある。