『武器としての決断思考』星海社新書/瀧本哲史
いま飛ぶように売れていますが、徐々に書店でも見かけるようになってきています。見かけたら即買いでしょう!

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今、最も注目を集めている人、それが「瀧本哲史」さんです。新書業界に旋風を巻き起こしている『武器としての決断思考』(通称武器決)『僕は君たちに武器を配りたい』(僕武器)2冊の著者で。瀧本さんにとっては初の本にもかかわらず、新書実用書の売り上げNo.1、No.2のワン・ツーフィニッシュをとっているのだから、それはもう旋風を巻き起こしているとしか言いようが無いわけです。特に武器決は、発売から1ヶ月も経っていないのに10万部を突破する売れ行きです。

ここで少し、瀧本哲史先生の経歴を引用してみましょう。

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京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。エンジェル投資家。
東京大学法学部卒業後、直ちに助手に採用されるも、マッキンゼーに転職。3年後に独立し企業再生やエンジェル投資家としての活動をしながら京都大学で教育、研究、産官学連携活動を行っている。NPO法人全日本ディベート連盟代表理事、全国教室ディベート連盟事務局長、星海社新書軍事顧問などもつとめる。
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やっぱり注目するのは最後の「星海社『軍事顧問』」という物騒な肩書きでしょうか。実はこれ、2冊の本に共通する「武器」という言葉と密接な関わりがあります。

この武器とは、簡単に言うと「教養」のこと。今までのレールにのったような人生を送るのが最良とされていたような時代と今は異なり、「カオスの時代」となっています。このカオスの時代を乗り切るためには、教養という「武器」が必要になるというわけです。

瀧本先生は今までのレールにのったような生活を送る人を「正規軍」、カオスの時代を生き抜かなければならない若者を「ゲリラ軍」として定義しています。ゲリラが正規軍を打ち倒すには武器が必要となります。そこで、自分をこのゲリラ軍に武器を配る「軍事顧問」と任じているというわけなのです。

では、どんな武器なのか。武器決では「意思決定の方法」であり「決断力」を武器としています。何が正解かわからない時代なのですから、何かに悩んだときに自分の責任で決断をしなければなりません。ではどうやって決断したらいいか。そんな、今の若者に最も必要とされている方法を、武器として配っているのです。

具体的には「ディベート思考」を使います。ディベートは単に議論をするものではなく、あるテーマを設定して、それに対する賛成意見と反対意見とを徹底的に戦わせて、第三者に審判を仰ぐ知的ゲームです。つまり、自分が正しい意見を言って相手を説得するのではなく、第三者を説得すると勝ちになるのですね。さらにポイントになるのは、賛成側意見と反対側意見のどちらの立場に立つかは、ディベート直前にくじ引きやじゃんけんで決まるのです。ということは、いくら個人的にテーマに対する賛成意見を持っていたとしても、くじ引きで反対側の意見を言わなければならなくなることがあります。

そこでディベートに必要になってくるのは、事前にある事柄についての賛否両方のメリット・デメリットを調べ、徹底的につきあわせることになります。これこそが、意思決定に重要なのですね。

両方の意見を徹底的に調べ抜くことで、問題の全体像を把握し、さらに客観的に見ることができます。そこで根拠を得ることで、最終的な判断を下せる=決断をすることができるというわけなのです。

この「武器決」では、このディベート思考を身につけるための方法を7時間の講義形式で詳しく説明しています。漠然とした方法論だけではなく、具体的な問題を定義して、それに対する回答を出すための時間も指定されているなど実践形式も含んでいます。

実はこの本は、光文社新書大学の企画として行われた「ディベート思考入門」をまとめたものになります。その模様はニコニコ動画に公開されています。さらに言うと、京都大学でのNo.1人気授業の一つである「意思決定論」の授業をまとめたものでもあるわけです。

そして、今回のこの「武器決」が新書創刊第一弾となる発売元の星海社ではジセダイにて、USTREAM講座を開講しています。第一回目は「武器決」をさらに1時間に濃縮したものなので、武器決を買おうか悩んでいる人は、こちらも参考にするといいでしょう。ちなみに、筆者も講義を受けていて、質問をしていたりもします。

この「武器決」で個人的に衝撃を受けたのは「裏をとるな逆をとれ」ということです。反論について考えるとき、ついつい「その情報の裏は?」とか「ソースは?」と聞いてしまうのですが、いくらその情報が正しいかを複数のソースから確認しても、同じ意見・主張の人だけから話を聞いたのでは全く意味が無いと瀧本先生は言うのです。なぜなら、情報の出所が同じだったということが多々あるからだ、と。こういったことがあるので、裏はいくらとろうとも駄目であり、逆をとることが重要になるのです。反対の立場の人の意見を聞き、その根拠を確認する。そして、その根拠をもとに反論を加えるということこそが、重要なのですね。

この考え方に感銘を受けると共に、どうやって逆の意見を集めたらいいかがわからなかったので、USTREAM講座で質問をしたりもしています。どういう答えが返ってきたかは動画を見て是非確認してください。

ちなみにこの記事が掲載される10月20日は20時から第二回のUSTREAM講座が開かれます。今回のテーマは「武器としての交渉術」。そう、交渉術です。こちらは前編後編と分かれていて、両方をまとめた書籍も今後出版予定とのこと。気になる人は是非チェックしましょう。「武器決」はディベートを何年もやっていた人が、「もっと早く知りたかった」と言ったほど、ディベート思考についての考え方やテクニックを網羅している本です。本書を読めば、数年分の経験を得られると言っても過言ではありません。自分の人生を自分で決めるためにも武器決を読み、瀧本哲史先生からの「武器」を受け取りましょう。
(杉村啓)