現IWGPヘビー級王者の棚橋。100人にひとりの逸材が、リング上も客席も熱かった昭和プロレスへの対抗心を語る

写真拡大

 来年、旗揚げ40周年を迎える新日本プロレス。その数々の激闘を網羅した『DVDでよみがえる闘いのワンダーランド 燃えろ! 新日本プロレス 至高の名勝負コレクション』が、10月13日(木)、小社から創刊される。

 プロレスファンならずとも興奮必至の昭和黄金期の名勝負を中心に、毎号3、4試合をノーカットでDVDに収録。さらに、読み応えたっぷりの20ページの小冊子と必殺技カードも付いている。

 創刊号のDVDは“舌出し失神事件”で有名な1983年6月2日、蔵前国技館のアントニオ猪木vsハルク・ホーガンをはじめ、猪木vs前田明、タイガーマスクのデビュー戦、アンドレ・ザ・ジャイアントvsスタン・ハンセンという最強のラインアップだ。

 創刊を記念して、現IWGPヘビー級王者・棚橋弘至に、このシリーズの見どころを創刊号の試合映像を観ながら語ってもらった。

                        *     *     *

――猪木vsホーガン戦は、棚橋さんはプロとしてどのあたりに注目されますか?

「ホーガンのグラウンドレスリングが素晴らしいですね……って、上から目線ですけど(笑)。ひとつひとつの基本的な動きがしっかりしている。今のプロレスは、技がどんどん複雑になって試合のテンポも速いけど、こういうふうにグラウンドのオーソドックスな攻防で盛り上げることも大事なんですよ」

――棚橋さん自身、もっとグラウンドで見せたいって気持ちも?

「ありますね。グラウンドからじっくり楽しんでくれるファンを育てていくのも僕らの仕事なんで。ある意味、ファンとの我慢比べですよね。ド派手な攻防で盛り上げるほうが簡単なんです……肉体的にはシンドイですけど(苦笑)」

――このホーガン戦の猪木さんの動きはどうですか?

「圧力ありますよね。独特の間合いからバチーン!と突然の張り手が出る。ホーガンは腰が引けてますもんね。オーソドックスな流れを突然断ち切るのが猪木さんの魅力のひとつですね。あと、古館伊知郎さんの実況も素晴らしいなぁ。『過激なセンチメンタリズム』とか、普段絶対に使わない言葉が違和感なく耳になじんでくる……。いや〜、それにしてもお客さん、パンパンに入ってますね!」

――やっぱそこに目がいきますか。

「自然と目がいきますよ。正直、悔しいっすね……。当時のプロレスは大人の娯楽で、親たちが夢中になって観て、子供たちも興味を持つって感じが伝わりますね」

――タイガーマスクのデビュー戦(81年4月23日、蔵前国技館)もハンパない盛り上がりです。

「タイガーマスクのすごさは、まさにアニメから抜け出たようなアクロバチックな動きですよね。『なんだ、コイツは!』って見ている人を驚かせる。プロレス初心者の人にぜひ観てほしいです。このダイナマイト・キッド戦の最後のジャーマンも素晴らしい。自分の背骨が折れるんじゃないかというほどものすごい反(そ)ってますよね」

――棚橋さんは76年生まれだから、この時代の試合映像は後追いで観られたんですか?

「僕は高校から本格的にプロレスを好きになったんですけど、当時はレンタルビデオ屋さんにけっこうプロレスの映像が置いてあったんですよ」

――会場にもよく行きました?

「地元の岐阜産業会館にはよく行きました。大学生になると、95年の10・9東京ドームや猪木さんの引退試合など首都圏の大会にもちょいちょい行ってましたね」

――10・9の新日本とUWFインターナショナルの対抗戦は6万7000人も客が入ったんですよね。

「ホントすごかったですよね。7割くらいは新日本のファンだったんじゃないかな。武藤(敬司)さんが高田(延彦)さんを足4の字固めで倒して。あの頃、僕にとってのスターといえば、やっぱり武藤さんでしたね」