不幸にも交通事故の被害者になってしまったときに、「損害賠償」の金額が少なすぎたために不幸が長引く「二次災害」といえるような状況が起きている――交通事故の損害賠償に詳しい弁護士の谷原誠氏(みらい総合法律事務所)は、「交通事故の被害にあった場合は、示談に応じる前に、客観的に請求できる賠償金額を計算してみてほしい」という。

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 不幸にも交通事故の被害者になってしまったときに、「損害賠償」の金額が少なすぎたために不幸が長引く「二次災害」といえるような状況が起きている――交通事故の損害賠償に詳しい弁護士の谷原誠氏(みらい総合法律事務所)は警鐘を鳴らしている。「損害保険会社が提示する賠償金額をうのみにしたために、事故後の生活が一変して苦しくなってしまう方が少なくない。実際に適正な賠償金額を見積もると、保険会社が提示する金額の数倍になることがあります」という。谷原弁護士は、HP(弁護士による交通事故SOS)を通じて情報提供を行う一方、スマートフォン(iPhoneおよびAndroid)向けのアプリを開発し、無料で損害賠償額の目安を計算できるようにしている。「交通事故の被害にあった場合は、示談に応じる前に、客観的に請求できる賠償金額を計算してみてほしい」という。

 2010年に発生した交通事故件数は、警視庁のまとめで約72万件。死亡者は約4700人だった。過去ピークの2004年の95万件超からは減少し、死亡者数も1970年の1万6765人からは大きく減っている。ただ、この死亡者の減少は、医療技術の進歩によるところもあり、一命は取り留めたものの重い後遺障害に悩む人の数は増えているという現実がある。とくに、高次脳機能障害(頭部外傷によって認知障害<記憶力障害、集中力低下など>や人格変性<攻撃性、幼稚性など>が生じた状態)、脊髄損傷(完全まひ、不完全まひなど)などで、生涯にわたる介護が必要となるケースもある。

 交通事故の賠償に関する判例の積み重ねで、「慰謝料」「逸失利益(事故で働けないなどのために収入が減少するために失われる利益)」などには、一定の基準ができている。HPやスマホのアプリで谷原弁護士が公開している賠償金額の計算ツールは、過去の判例に基づく標準的な賠償金額を算出している。しかし、任意保険の保険会社による見積もりは、「過去の判例の中でも低い水準を参照したり、また、逸失利益の算定で、労働能力の判定水準を実際より高く、逸失期間を短めにするなど、賠償金額を低く見積もる傾向がある」(谷原弁護士)という。一部の報道では「払い渋り」などと表現されることもある。

 谷原弁護士は、「将来介護費用を安く見積もるケースなど、ひとつひとつの賠償項目を積み上げて検証してみると、びっくりするほど低い賠償金額が提示されていることがある」として、交通事故の被害にあった場合に弁護士に相談することの効果を説く。たとえば、東京地方裁判所に起こされた交通事故に関する損害賠償訴訟は、2000年の1120件から、2009年は1477件に増加している。しかし、裁判に持ち込まれるのは氷山の一角であり、弁護士が間に入って示談になるケースも多い。実際に、無料で公開している「交通事故SOS損害賠償自動シミュレーション」で損害賠償額を自分で計算し、保険会社に提示したところ、最初に示された賠償額を増額できたという報告も少なくない。

 また、交通事故の賠償問題については、弁護士が無料で相談に応じるようになってきている。谷原弁護士が所属するみらい総合法律事務所は、相談件数が年間1000件を超え、常時100件以上の交通事故事件に関して被害者代理人として損害賠償請求をしているという状態にあることから「後遺障害がある事案に限って無料で相談に応じている」状況だという。一般に弁護士費用は、「着手金(相談無料の場合はゼロ)」と「成功報酬」に分かれ、弁護士が交渉したことによって獲得した金額から10%程度が弁護士報酬になるという。「交通事故による被害は、想定よりも長い期間にわたる場合があります。無料で相談が受けられる弁護士は少なくないので、事故にあってしまった場合は、弁護士の無料相談を利用するのもひとつの方法です」と呼びかけている。

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